金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

徒然草を読む(21)~過度のこだわりは破滅を招く

2020年06月14日 | 本と雑誌

徒然草第九十七段は「こだわりが身を亡ぼす危険性」を論じている。

「その物に付きて、その物を費(つい)やし損なふもの、数をしらずあり。身に虱あり、家に鼠あり、国に賊あり、小人に財(たから)あり、君子に仁義あり、僧に法あり」

「あるものにくっついて、本体をだめにしてしまうものは数知れない。体に付着する虱、家に住み着く鼠、国の利権にたかる国賊、つまらぬ人間が固執する財産、立派な人間がこだわる仁義、僧侶が執着する仏法も身を亡ぼす」

直訳すると兼好法師の意見は世間で立派な人間を思われている人に手厳しい。

俗っぽい人間(小人)が財産にしがみついて身を亡ぼすことと立派な人間(君子)が道徳の筋道(仁義)に固執して身を亡ぼすことを同じように批判している。また僧侶が仏法に執着するのも身を亡ぼすもとと喝破する。

徒然草の原文を直訳しても兼好法師の真意を伝えることは難しい。私は次のように解釈している。

「仁義(道徳の道筋)も仏法も人間らしく生きるための方法論である。方法論に固執し、それを目的としてしまうと人間らしい生き方を損ねてしまうことがある」

もっともこれは私の解釈であり、これが世間に流布している解釈かどうかは私の興味の範囲にない。

健康ブームが過熱化した時「健康のためなら死んでもかまわない」というブラックユーモアがささやかれたことがあった。本来健康とは良い人生を長く送るための手段なのだが、目的化するとこんな話になってしまう。

コロナウイルス問題にも同じような側面がありそうだ。個人レベルではコロナウイルス感染リスクに怯えて自宅籠りを続けてフレイルに陥り、社会レベルでは人々が過度に委縮して経済活動が低下し、経済的苦境がストレスを高め、生命と健康の脅威となるという事象も「過度の執心・過度の正義感が命の脅威になる」一例かもしれない。

この複雑で単純な正解がない世の中で真実を見出すのは難しい。時に信念は妄執につながり、妄執は冷静な判断力を曇らせる。本当の価値とは何かということを念頭に置きながら多面的にものを見続けることしかないのだろう。

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徒然草を読む(20)~梅雨の合間のペン習字

2020年06月13日 | 本と雑誌
徒然草第三十五段は短い。
「手のわろき人の、はばからず文(ふみ)書き散らすはよし、見苦しとて人に書かするはうるさし」である。
「字の下手な人が遠慮せずにどしどし手紙を書くのは良いことだ。書く字がみっともないからと代筆させるのはこだわり過ぎて嫌味である。」という意味だ。
 
最近自筆で手紙を書くことがなくなった。だからどんどん字が下手になり、漢字も思い浮かばなくなる。
すべての場面でパソコンを使うことができるならそれでよいかもしれないが、そうはいかない。
一つは住所や氏名を記帳する場合があるからだ。もう一つは自分で手書きのメモを取って後で読み返してみた時判読できずに困ることがあったからだ。
 
兼好法師は悪筆OKといったが、字も読みやすい方がよいに決まっている。
ペン習字帳を一冊買って梅雨の合間に練習することにした。実は過去にもこのような方法で練習したことはあったがうまくならなかったで「なぞるだけでみるみる美文字に!」なるとはにわかには信じがたい。
 
でも多少なりとも読みやすい字を書けるようになりたいとは思う。負け惜しみは努力の後にしよう。
 



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そろそろ夏山を考えますか?

2020年06月13日 | 

先日名古屋の山仲間から「7月と9月の4連休はどうしますか?」というメールがあった。

コロナウイルス自粛と梅雨入りで天気が悪いため、まだ考えていなかったけれど7月の4連休は1カ月先に迫りつつある。

23日の海の日が休日の最初なので正確にはまだ40日ほど先の話だが。

そこでまず山の仲間にアンケート調査を行うことにした。

以前はこのような調査を「調整さん」を使って行っていたが、今回はMicrosoftのFormsというアンケートツールを使って意見を回収することにした。FormsはMicrosoft365の付属アプリなので365のサブスクライバーなら誰でも簡単に使うことができる。

このForms+Facebookで簡単に意向集約を図ろうというのが今回の試みだ。

アンケート調査にFormsを使うというのはテレワークから学んだ知恵である。数百名の従業員の意向を瞬時に集約するには非常に便利なツールだ。もちろんアンケートの作り方には工夫はいるが・・・

さて約半年ぶりになる山の会としての登山だが、コロナウイルス感染リスクを避けて「マイカー+キャンプ」にしようと考えているが、皆さんのご意向はどうだろうか?

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ワクチン開発を支援してコロナ封じに貢献しよう

2020年06月12日 | うんちく・小ネタ

昨日(6月11日)の米国株はダウが1,861ドル6.9%ダウンと急落した。

直接の原因はパウエル連銀議長がコロナにより打撃を受けた労働市場の回復には数年かかるという見解を示したことによる。もっともこれまでの株価上昇速度が速過ぎたため速度調整は不可避だったともいえる。

コロナ問題については、ワクチンや治療薬が開発されないと根本的な解決は望めないという見方が広がる一方、大学に国から割り当てられる交付金や科学研究費ではまかないきれないのが現状だ。

大学の中には独自にワクチン開発寄付を市民に募る先もでているが、信託銀行の治験薬開発の寄付口座を使って手軽に寄付を行う方法もある。

私は三井住友信託銀行が開設している寄付口座を利用して某大学に寄付を行った。

この寄付口座の特徴は次のとおりだ。

①WEBから簡単に申し込むことができる。

②13の大学・研究機関の中から希望する先またはすべての先に按分して寄付することが可能

③寄付金額は最低1万円から

④確定申告により寄付金控除を受けることができる。

コロナ封じに一灯を捧げてみたいと思う。ささやかな一灯ではあるが多くの人の志がまとまるとコロナ封じのワクチンや治療薬が開発されると信じたい。

 

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徒然草を読む(19)~投資のコツは負けないこと

2020年06月10日 | ライフプランニングファイル

このところの米国株の戻りは著しい。コロナウイルス感染拡大が顕在化した2月3月の株価急落に目を見張るものがあったが、4月および今月の急騰にも目をむくものがある。

「2月に株を売っておいて手持ち現金を増やし、3月の下旬ごろ底値で買えば一儲けできたのに」と後講釈を思いつく人も多いはずだ。

だがこれは後になって言える話で実際には暴落の前に株を買ったり、暴落した後に株を売ることは多い。これは欲と恐怖心から相場を見る目が曇るから起きることだ。

相場の格言に「名人、天井売らず底買わず」という言葉がある。相場の名人は最高値で売ろうとしたり、最安値で買おうとせず、そこそこのところで仕掛け、そこそこのところで手仕舞い、手堅く利益を取るという教えだ。

徒然草第百十段の双六の名人の話もこの格言に通じるものがある。

「双六の上手といひし人に、その手立てを問ひ侍りしかば、『勝たむと打つべからず。負けじと打つべきなり・・・』と言ふ」

双六、これは現在子供が正月に楽しむような双六ではなく、バックギャモンのような賭け事なのだが、その名人の教えは「勝とうと思わず負けないような手を打つべきだ」というものだった。勝とう、勝とうと思うと前のめりになり平常心を失う。しかし負けないような手を打とうとしていると冷静さが保たれ相手がミスを犯して結局勝つことができるという教えだ。

プロのファンドマネージャーの場合には相手がある。それは日経平均やS&P500という市場平均である。少なくとも市場平均に負け続けているようでは資産運用を委託してくれるお客さんはいなくなる。

だが我々一般人は別に市場平均と競争する必要はない。我々が目指すものは、自分の将来を支えるために無理のない範囲でじっくり資産を増やすことである。もし予定より資産が増えれば少し贅沢をすればよく、予定に届かない時は少し節約をすればよいのである。

勝とうと思うわず負けないような手を打て、という徒然草の教えは資産運用の心構えとしても有用だと思った。

 

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