昨日(8月3日)の米国株は、月初2日の下落後大幅に反発した。S&P500は1.6%、ダウは1.3%、ナスダックは2.6%上昇した。
株価上昇要因の一つは、ISM非製造業景気指数が56.7と4カ月ぶりに上昇に転じ、事前予想も上回ったことだ。またWSJは特に具体的企業名をあげずに、幾つかの企業決算が予想より良かったことも株価を押し上げたと述べていた。ナスダックの上昇率が大きかったが、ペイパルの株価が9.3%上昇したことやアマゾン株が4%上昇したことも押し上げ要因だった。ペイパルについてはヘッジファンドのエリオットマネジメントが20億ドル相当の同社株式を保有していることを発表した後、株価が急上昇した。
アマゾンについては昨日の株価上昇に関係あるのかどうかは分からないが、WSJにBig Tech is the West's surprise weapon in competition with Russia, China(IT大手はロシア、中国との競争の中で驚くべき武器)という記事がでていた。記事のポイントは、ロシアがウクライナに侵攻した今年2月に、ウクライナ政府は政府のデータをアマゾン・マイクロソフト・オラクル・アルファベット(グーグル)の国外のデータセンターに保存することを可能にする法律を可決しており、ロシア軍がキーフのデータセンターを破壊してもバックアップは既にヨーロッパ諸国に保存されていたので実害はなかったということだ。
市場占有力の高さで時として独禁法の観点から政府機関のターゲットにされるIT大手だが、専制国家の武力行使に対して防御力を発揮した訳だ。
ウクライナの情報防衛という点では大きな貢献をしたIT大手だが、今年の株式相場下落に対する抵抗力という点では個別企業ごとに差が出ている。
今のところ一番好調なのはアップルで、年初来8.7%の下落にとどまっている。S&P500は13.3%下落しているが。
マーケットには「S&P500の売り・アップルの買い」というストラテジーで臨んでいる投資家もいるという話なのでアップルの株価が対インデックスで好調をキープしているのかもしれない。