散歩の途中、プックオフの棚を眺めていたら、テイヤール・ド・シャルダン『自然のなかの人間の位置』(島崎通夫訳、春秋社、1968年)が目に留まりました。
若い頃、気になりながらも読まずにいた哲学者の代表作の1つ。宇宙における人類の進化の意義を考察した壮大なビジョンで知られています。
税込みで300円という値段だし、中身も読みやすそうだったので購入。
家に帰ってパラパラとめくって、あちこち拾い読みし、やはり買ってよかったなあと思いました。
たとえば次のような部分――
- 人間以前の哺乳類の属または種の進化に要したと見られている平均年数から判断すると、人類のように驚異的な一動物群の寿命は、すでに数千万年を経ていると見るべきであろう。しかし…(中略)…精神圏はまだ有機的には未整備の状態にある、とすれば、人間は、百万年かかって今やっと胎児期から脱け出すところなのだ、と言えばよいだろう。
古生物学者でもあったテイヤール・ド・シャルダンらしい表現ですが、ここにはSFの初期のビジョンがはっきり見てとれます。
コンスタンチン・ツィオルコフスキー、オラフ・ステープルドン、テイヤール・ド・シャルダン、アーサー・C・クラークといった面々が互いに影響を与えあいながら、人間中心のSF的進化思想を発展させてきたのでしょう。
そのあたりをはっきりさせ、そしてそれが、いつ、どういう理由で変化してきたのかを考えるのも、自分の課題としたいと思います。