先週発表された米国の雇用統計では、失業率は0.2%ダウンして9.7%、非農業部門の雇用者数は5月に431千人増加した。431千人の雇用者数増加は2000年代初期以降では最大の雇用者数増加で、市場予想の54万人よりは低いものの一見悪い数字ではない。しかし雇用統計の中身を分析した市場は米国株を大きく売り込んだ。
エコノミスト誌にDown, but for the countというタイトルのブログ(Free echange)が出ていた。for tke countというのは「ボクシングでダウンしてカウントされる」という意味でDown for the countと使われる。Down, but for the countのタイトルは「失業率はダウンしたけれど打ちのめされている」という意味なのだろうと私は解釈している。
431千人の雇用増の中身を見ると411千人は国勢調査のための臨時採用者だった。民間部門の雇用者増は僅かに41千人で4月の20万人増から大幅な減少。改めて米国の雇用環境の悪さが目立った。
長期失業者の数が増えて6.8百万人近くになったこともマイナス要因だ。失業率の下落は就業意欲のある失業者の数の減少など労働者数の減少で説明されるので、ほとんどプラスに働かなかったということだろう。
出口の見えない欧州のソブリンデッドと銀行の問題や中国の住宅市場や労働市場に注意信号が点滅する中、米国経済の回復が数少ない希望だっただけに反動は大きそうだ。