金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

楽天の海外進出の背景を考える

2010年06月18日 | 社会・経済

今日(18日)の日経新聞朝刊は「楽天がフランスのネット通販会社を2億ユーロで買収する」という記事が出ていた。三木谷社長によるとこのフランスの会社を核に英国やドイツにも進出するという話だ。

楽天の海外進出はインドネシア最大のメディアグループ・Global Mediacomとのジョイントベンチャーや米国の小規模電子取引サイト・buy.comの買収でアジアや米州では始まっている。楽天が海外進出に力を入れる背景は何だろうか?

6月10日のエコノミスト誌は「日本におけるイーコマースの離陸」というタイトルでその背景を考察していた。エコノミスト誌はマッキンゼー社の作成した予想をベースに次のように解説している。

その予想によると2005年に111兆円だった小売店頭販売は2015年に90兆円に縮小するが、2005年に1.8兆円だったオンラインショップは2015年に5兆円に拡大するというものだ。総務省が発表してる「商業統計」によると、2007年の通信・カタログ販売は4兆170億円であるから、このチャンネルの中でもオンラインショップの比率はまだ高くない。ただし楽天はオンラインショップの3分の1近いシェアを握っている。

エコノミスト誌は、日本のオンラインショップが欧米に比べ相当遅れていた理由は、日本人は携帯電話でネットサーフをするが、携帯電話の画面はPCよりもネットショッピングに向いていないので店頭で購入することを好んだのだろうと述べている。

この点について私は一部そのような理由はあるかもしれないが、大きな理由は米国などに較べて日本では通信販売が普及していなかったことだと考えている。

ところが消費不況の中、オンライン商売が堅調に伸びているので、大手小売業者が本格的にネットショッピング市場に進出し始め、楽天の仮想モールではなく、自社サイトへの消費者の誘導を始めた。

大手小売業者のネットショッピングの状況について詳しく調査をしていないが、例えば検索エンジンに「ネットスーパー」とか「ネットデパート」と入力すると大手小売業者のポータルサイトが沢山出てくる。

このような状況下楽天は二つの戦略を取り始めた。一つは自社オリジナル商品を楽天モールに投入し始めたことでもう一つは海外進出である。

楽天の海外進出が成功するかどうか?

それを直ちに判断する材料は持ち合わせないけれど、楽天が日本で成功した理由を考えると判断材料は出てくるだろう。楽天が成功した理由は、仮想モール内のどのショップでも使うことができるポイント制で消費者のロイヤリティを掴んだこと。もう一つは日本の非常にキメ細かい宅配サービスだ。それと日本の複雑で非効率な小売業システムの盲点をついて安く商品を提供したことだ。

エコノミスト誌は海外の小売市場には日本のような非効率性はないのでその盲点を突くことはできないと解説している。

☆  ☆  ☆

ところでここに来て消費税引き上げの話がかなり具体性を帯びてきた。私は消費税の引き上げが行われると、消費者はますます価格意識が高まり、小売業者間の競争がますます激化すると見ている。国内のネットショッピング市場は拡大しそうだ。だが大手小売業者がその市場で利益を上げることは難しそうだ。

小さくなった池の中で魚を取り合うより、大きな池を求めて海外へ出る楽天が大きな獲物を獲る可能性はある。だがそのためには徹底した現地化が必要。楽天の試みには注目しながらしばらく様子を見たい。

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米企業、自社株買いに動く

2010年06月18日 | 株式

ファイナンシャル・タイムズは米企業が自社株買いに動いていると報じている。先週27、総額185億ドルの自社株購入プログラムが発表された。その内150億ドルはウオール・マートのプログラムだ。

2010年に入って343、総額1,780億ドルの自社株購入プログラムが発表されている。これは2007年以来最大規模だ。USBの株式ストラテジスト・Golub氏は「絶対額ベースでは自社株買いは伸びるだろうが、企業の手許現金の対比では期待外れだろう」と述べている。

米企業はコスト削減で手持ち現金を積み上げている。連銀の先週のレポートによると、金融業を除く企業の手持ち現金は1兆8,400億ドルでこれは1960年代以降で最高の残高だ。だが格付機関が企業の手持ち現金を注意深く見ているので、企業は先行きがはっきりするまで自社株買いに慎重な姿勢を示している。

とはいうものの経営陣には自社株買いを進めるモチベーションはある。彼の報酬は一株当り利益に連動しているので、自社株買いを進めて発効株数を減らしたいからだ。

バンカメ・メリルの役員は「企業は弱気ではないが、市場がピークだった時のように劇的に強気でもない」と述べている。

株価が大きく下がると自社株買いを発動する企業が多いだろうということは、米国株にある種のフロアがあることを意味する。このことは頭の中に入れておいて良いだろう。

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Xperiaを買ったらまずToggle Settingをインストール

2010年06月18日 | デジタル・インターネット

日本でもスマートフォンの普及が加速しているようだ。今日の日経新聞朝刊にも富士通と東芝が携帯電話事業の統合で基本合意したと記事が出ていた。統合してスマートフォンなどの開発を強化することが狙いだ。

さて新しいものが好きな私も先月ドコモのXperiaを購入してそれなりに使い始めているが、各種設定の変更(たとえば通話音や着信音のレベルなど変える)が複雑なことには少し手を焼いていた。

ところが偶然各種の設定変更を一元化したToggle Settingという無料のアプリケーションを見つけた。端末の各種設定は階層の深いところにばらばらに存在するが、このアプリケーションを使うと一元的に管理できる。パソコンの「コントロールパネル」に相当する機能だ。

一般の携帯電話やパソコンではこのようなアプリケーションは組み込まれているので操作が簡単だが、スマートフォンの場合、ダウンロードしてこないといけない。

もっともダウンロード自体は簡単で「マーケット」というアイコンをタップしてアンドロイドのサイトに入り、検索欄にtoggle settingと入力するとアプリケーションが出てくる。それをタップすると数秒でダウンロードできる。

アンドロイドには掃いて捨てる程沢山のアプリケーションがあるが、これは皆が欲しがる必須のアプリケーションだろう。プリインストールしておいてくれると便利なのだが・・・・(乗換案内など余り使わないアプリはプリインストールしてあるのに)。

スマートフォンというのは、自分でアプリを探したりしてカスタマイズすることで使い勝手が随分異なってくる。この辺りがガジェット好きの人には楽しいのかもしれないけれど、そうでない人にはまだ少し使い勝手が悪い道具かもしれない。

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