ニューヨーク・タイムズは昨今の中国の労働争議において携帯電話等が情報共有に活用されている状況を報じていた。
タイムズは「ストライキに入ったホンダ・ロックの1,700人の労働者は大部分が中等教育しか受けていない貧しい出稼ぎ労働者だが、驚く程tech-savvy(情報技術に通じている)だ」と書き出す。
「我々はストライキの状況を携帯電話でビデオに撮り、いかに我々が不公平に扱われているから他の人々に知らせるためオンラインに流すことを決めた」とある労働者は語っている。
ホンダの中国工場で初めにストライキが起きたのは、佛山のトランスミッション工場だ。佛山工場のストライキのリーダー達はインターネットのチャットルームQQを通じて600人以上の労働者を組織し、コミュニケーションを図った。
佛山の情報は他のホンダの工場で共有されている。ホンダ・ロックでストライキしていた労働者達は、労使交渉が続く中一時的に職場復帰している。政府が主導する労使交渉において、先週末11%の賃上げ案が提示された。しかし労働者達は佛山工場では50%の賃上げが認められたという情報を得ているので、自分達も同様の賃上げを得られるだろうと自信を持っている。
中国政府が過去10年間携帯電話やインターネットサービスの価格を下げることで情報格差を縮める努力をしてきた。その結果中国のインターネットユーザーは4億人になった。
「中国におけるインターネットの力:市民行動主義オンライン」(仮題)の著者Yang教授は「出稼ぎ労働者が情報技術を使って組織化されるということは人々が注意を払ってこなかったことだ」と述べている。
今大きくなりつつある疑問は、労働者の活動が社会秩序を脅かすほど大きくなる場合、政府が抑制にかかるかどうかあるいはそれはいつかということだ。政府は既にストライキに関するウェッブサイトの取り締まりを始め、多くのブログを削除している。
「我々はもうチャットルームQQは使わない。会社のスパイが侵入しているからだ。我々は携帯電話をもっと使っている」とあるストライキの指導者は言っている。
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中国の歴史を眺めれば、多くの王朝は流民化した農民暴動により倒れている。当時どのような情報伝達手段があったかは知らないが、檄文が暴動参加者を鼓舞したことは間違いない。
今ネット上では檄文に加えて工場管理者に手荒く扱われている労働者の姿が映像で流れているということだ。一枚の写真やワンカットの映像は時として千言の檄文より強いインパクトを持つだろう。
中国はどこへ向かうのだろうか?