今週の日経ヴェリタスの中に、「登山市場、けん引役は『山ガール』」という記事が出ていた。日本交通公社が昨年10月に実施した「旅行者動向調査2009」によると、「09年に初めて登山を楽しんだ人」の割合は1.2%で、20代後半の女性に限ると5.2%に跳ね上がるということだ。
私の会社の山の会でも友達の若い女性の同僚が昨年初めての山登りで私達の登山に参加してくれた(残念ながらその後の参加が途切れているが)。
ところでヴェリタスの記事によると、インターネットに押され気味の紙のメディアも登山関連では健闘していて、分けても紙の登山地図には根強い人気がある。そして首位を独走するのが昭文社の「山と高原地図」ということだ。
私は原則山岳部時代の習慣で国土地理院の2.5万分の1の地図を使っている。2.5万分の1の地図は等高線等がはっきりしているので地形の読み取りができるからだ。一方一つの山に行くのに何枚もの地形図をそろえなければならないとかコースタイムが読めないという不便もある。まあ夏山に一般ルートを登るのであれば昭文社の地図で良いだろう。
ところで地図の重要性は山岳事故の最大の原因が道迷いで39.8%を占めることを警察庁が昨年7月に発表しているデータは示している。
私は直感的に滑落や転倒の方が事故原因として多いと思っていたのでやや意外であるが滑落(18.1%)と転倒(13.7%)を足しても、道迷いより少ない。なお自己原因の割合は40歳以上の中高年に関してもほぼ同じような割合である。
警察庁の統計は「何故道迷いが起きるのか?」までは分析していないが、どのようにして道迷いが発生するかは事故防止の観点から重要な分析課題だろう。例えば「地図を持っていなかった」とか「リーダーや仲間からはぐれた」などの分析をすれば事故防止に資するかもしれない。
人生の荒海という難路を海図なしに歩いてきた人達は地図を軽視する傾向があるのだろうか?あるいは時として登山路にある不確かな標識を盲信して歩き続けることが迷いを深めるのだろうか?