ニューヨーク・タイムズはフランスもドイツと歩調を合わせて緊縮財政に向かうと報じている。それによると週末に450億ユーロの財政支出削減を発表したサルコジ政権は今日「退職年齢を60歳から62または63歳に引き上げ、年金を満額受け取るに必要な加入期間を延長する」という大きな提案を発表する予定だ。
フランス国債は米国、ドイツの国債と並んでAAAの地位を保っているが、ギリシア等の格付け悪化の状況を見て緊縮財政に方向転換をせざるをえなかった。
フランスの今年の財政赤字はGDPの8%、国債残高はGDPの78%で南欧諸国よりは相当健全であるが、EUのガイドライン(財政赤字はGDPの3%)を越えている。
サルコジ政権は金融危機後の景気対策にGDPの1.5%に及ぶ財政支出を実施中で財政引き締めに反対していた。
またタイムズによると政府と公共サービスの規模から伝統的にフランス政府は支出削減は法的・政治的に困難だと判断していた。
昨年のフランスの公共支出はGDPの56%でユーロ圏で一番高いレベルにある。支出の中身は現物社会移転費、公務員の人件費、支払金利だ。
世論調査によるとフランスは変革に対して警戒心を示しているが、年金システムの変革を受容するという。しかし多くの公務員が50歳かそれ以下で退職している国だけに社会主義者の反対で公務員ストライキが予想されるなど混乱は不可避のようだ。
日本でも財政健全化が政治のメインテーマになりつつあるが、スピード感をもって議論を深める必要があるだろう。
日本の国債残高はGDPの約2倍に及ぶが、幸いなことにまだ国債の消化能力はある。財務省が先日発表していた対外証券投資の状況によると、6月5日までの4週間の中長期外債の投資純増額は4兆1千億円を越える。これは2005年5月以降最大の純増額だ。
他国の国債を買うほど資金余力があるので、当面日本が国債消化で苦しむことはなさそうだが、いつまでもあると思うな親とカネである。