人民銀行の金融政策委員でもある精華大学の李稻葵Li Daokui教授は、「中国の住宅バブルは社会的な不満を伴っているので、金融危機以前の米国の住宅バブルよりも悪い」と述べているとファイナンシャルタイムズは報じていた。
彼の談話は月曜日に国務院が不動産税の改正案を認める前に発表されたものだ。
李教授のいつになく率直なコメントは、欧州の危機により中国は更なる金融引き締めを避けることになるだろうというエコノミスト達の見方が増えているのと対比をなしている。
李教授は住宅価格の高騰は都市化をスローダウンさせることで、経済成長を阻害する可能性があるとともに、潜在的な政治的紛争の火種となりうると述べている。また彼は中国は過熱状態の瀬戸際にいるが、制御不能な状態ではないと述べている。そして実質的にはマイナス金利になっている預金金利を適度に引き上げることと人民元の漸進的な引き上げが必要と結んでいる。
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中国の住宅価格高騰を巡る社会的騒動の実態はよく分からない。ただホンダの工場のストライキに関する記事を読むと「親の世代はもう少しお金を貰って故郷に帰りたいというのが、望みだったが我々は都市に留まりその生活をエンジョイしたい」という労働者の声が紹介されている。
住宅価格の高騰と低賃金に不満を持つ工場労働者によるストライキは今中国の新たなリスクになりつつある。そしてそれは中国だけでなく、中国の経済成長に期待を寄せる先進諸国のリスクでもある。