金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米国小売売上高好調で株高だがどこまで続く?

2012年10月17日 | 金融

昨日(10月16日)発表された米国の9月の小売売上高は市場予想(0.7%上昇)を上回る1.1%の伸びだった(8月は1.2%アップに上昇修正)。特に自動車関係と電子製品が好調だった。

ダウは127.55ポイント(0.95%)上昇。円ドル為替も79円近くまでドル高が進んだ。市場終了後ムーディーズはスペインの格付Baa(ただしネガティブアウトルック)を正式に発表した。

ムーディーズは6月にスペインの格付引下げの可能性ありとしていたが、昨日は「欧州中銀がスペイン国債を購入する意思を示しているので、同国が市場アクセスを失うリスクは実質的に減少した」と述べた。またムーディーズはスペインが欧州安定化メカニズムに予防的なクレジットラインの開設を申し込むのではないかという見通しを述べた。

このような状況に加え、景気悪化時には米国の連銀が住宅ローン担保債券を購入して資金を供給するという「バックストップ」が投資家のリスク志向を高め、FTSE 全世界株式指数は1.3%上昇した。リスク志向が高まる時は金融株が先行する。昨日のニューヨーク市場では、三菱UFJのADRが1.98%値上がりしていた。

もっとも米国の消費景気の回復について懐疑的な見方もある。FTによると電子製品の4.5%の急増はアップルのiPhone5の発売開始によるもので、昨年10月のiPhone4の発売時と同じように数ヶ月で剥げ落ちると悲観的な見方を示しているアナリストもいる。またガソリン価格が8月に比べガロンあたり13セント上昇し、4月以降最高値となったことも小売売上高を押し上げた要因の一つだ。

エネルギー価格の上昇や年末にかけて予想される税制変更は、消費者が財布を紐をしめる要因だ。そのまま景気が悪化するとは思わないが、回復基調が鮮明になってきた米国の消費者心理にも色々なハードルがある。

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