金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

オバマの勝率は6割。最終テレビ討論の前だが。

2012年10月23日 | 国際・政治

アメリカのマスコミだけでなく、世界のマスコミが注目しているのが今日フロリダ州ボカラトンで行われる予定のオバマとロムニーの最終テレビ討論だ。今回の討論では外交問題が中心になると言われているが、米国人の外交問題に対する関心度は、経済問題や財政赤字問題に較べるとはるかに低い。従って投票者は具体的な外交政策の違いで、大統領を選ぶというよりは、どちらが大統領にふさわしいか?という点で二人の直接対決を見るだろうという思われる。

もっとも外交問題については現職のオバマに分があると判断されているようで、CNNの調査によると今日の討論は6割がオバマの勝ちと見ていて、ロムニーが勝つと判断している人は2割だ。

ついでにいうと将来の出来事は何でも賭けの対象になるようで、大統領選挙の結果も賭けの対象である。

Intrade prediction marketという将来の出来事に対する予想を賭ける市場によると、オバマの勝率は60%、ロムニーの勝率は18.5%となっている。この数字は両候補が拮抗しているという世論調査の数字と随分かけ離れて見えるが、州別の選挙人の数を積み上げた調査結果とは整合しているようだ。

ニューヨーク・タイムズはFive Thirty eight (538は選挙人の数)Forecastという調査を発表しているが、それによるとオバマは過半数を上回る289.7名の選挙人を確保し、ロムニーが獲得する選挙人は248.3名に留まるということだ。

ロムニーの選挙戦略は「この選挙は過去4年間のオバマ大統領のパフォーマンスに対する国民の信任投票だ」というスタンスだった。ギャラップの「米国で行われていることに対する満足度調査」では、満足している人が3割で不満を持っている人が2/3もいる。満足度の過去の平均値は37%だから、過去の傾向からみるとオバマ政権に対する評価は高いとはいえない。とはいうものの現職が負けた二つの選挙~ジミー・カーターの時は満足度19%、父ブッシュの時は22%~の時よりは高い。ギャラップは現状に対する満足度から選挙結果を予想するのは難しいと述べている。

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増える内外M&A、日本の企業文化は変わったか?

2012年10月23日 | 社会・経済

日本企業による海外企業の大型買収が話題になっている。ソフトバンクは201億ドルでスプリント・ネクステルの支配権を手に入れようとしているし、電通は英国の広告会社イージスを43億ドルで買収した。ダイキンは米国のグッドマン・グローバルを37億ドルで買収し、空調で世界トップメーカーの地位を一層固める予定だ。

日本企業が海外のM&A活動を強めている短期的な背景は円高と海外企業が企業買収におよび腰になっていることだ。だが長期的にみると、人口減少特に労働人口の急速な減少による経済規模の収縮に対する企業の懸念が海外M&Aの推進力になっていることは間違いない。

FTはCultural shift edges into corporate Japan(文化的変革が日本企業に忍び寄る)という記事の中で、日本企業による海外M&Aは規模が大きくなっているだけでなく、力強くなっていると指摘している。

過去の日本企業の買収は、資源関係や製造業部門中心であり、通信会社や広告会社というサービス・人的サービス部門の大型買収は少なかった。大型買収というと野村証券によるリーマンの部門買収があったが、失敗に終わったのは周知の通り。

サービス部門の買収が難しいのは、買収する会社の資産が「人」という極めてセンシティブなものだからだ。現地の従業員や幹部といかにコミュニケーションを取り、いかに彼らのモチベーションを理解し、活性化していくかということは従来の日本企業の文化の壁を乗り越えなければならない作業なので企業トップの海外文化に対する理解が不可欠である。

FTはこの点について楽観的な見方をしている野村證券のM&A部門トップの角田慎介氏の「日本の企業トップの文化は変わってきている。60歳以下の経営層は海外子会社で勤務した経験を持つものが多く、外国企業や外国人に対しこれまでの経営陣より安心感を持っているだろう。」と述べている。

実際変化が起きている会社はある。ミレニアム社を買収した武田薬品はミレニアム社のトップを米国のM&Aチームのトップに据えて活動を強化している。

だが私は多くの日本企業にとって依然として「企業文化の壁は高い」のではないかという懸念を持っている。これは私が信託銀行という極めてドメスティックな会社で、海外勤務を経験し、会社経営層の呆れるほどの他者理解力の低さに辟易したことがトラウマになっているのかもしれない。今の若い人はどうだか知らないが、日本では会社の仕事が最優先する。しかし海外では個人の生活や社会的活動が会社の仕事に優先する、と多くの勤務員が考えていると理解しておいた方が良いだろう。これは外国人が仕事に不熱心だという訳ではない。日本人のように「仕事がなくても仕事をしているふりをすることが下手だ」というだけのことだ。

という具合に自分の狭い経験で日本企業の悪口を書いたが、海外展開を目指している元気な会社はこのような弊習をとっくに卒業していると思いたい。

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