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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

私の人生、ヒマラヤサンドイッチ(2)

2012年10月18日 | うんちく・小ネタ

前回ヒマラヤといっても、ネパールにあるヒマラヤとパキスタンにあるヒマラヤでは2千kmも離れていると書いた。2千kmという日本列島の端から端まで。山でいうと九州の霧島山から北海道の羊蹄山ほど離れている。だが霧島山と羊蹄山では緯度の違いからくる植生の違いはあるものの、山麓には同じ日本人が同じ言葉を話し、同じ程度の信仰心を持っていてほとんど差はないだろう。

だがこの点についてはネパールとパキスタンでは大きな違いがある。ネパールはヒンズー教を中心とした国で、パキスタンはイスラム教の国だ。

社会学者の加藤秀俊氏の言葉を借りるとネパールは「信心圏」でパキスタンは「宗教圏」ということになる。加藤氏の言葉(「ひまつぶし隠居学」)によると「宗教とは絶対者を認識しそれを信ずる行為」で「信心とは相対的で、なにごとであれ(ご利益のありそうなものを)勝手に信じる行為」ということになる。なお「ご利益」以下は私の勝手な注釈。

八百万の神がいらっしゃる日本は当然「信心圏」の国である。ビシュヌ・シバ・ブラフマーの3大神以外に多くの神がいるヒンズー教も「信心圏」の中核的存在である。

若い時旅したパキスタンは硬イスラムの国で、一般のレストランではビールも置いていなかった。田舎の中の田舎でも人々は一日に何度かメッカの方に向かって敬虔な祈りを捧げていた。そのような社会の中を旅したことは、自分の価値観の形成上プラス面が多かったと私は思っている。だが旅をして楽しいか?どうかということになると、話は別で「信心圏」の方がフィーリングが合いそうな気がする。ただしこの辺りの結論は実際に旅をしてからにしよう。

「信心圏」はインドから中国、中国に広がり、「宗教圏」はパキスタンから西にヨーロッパまで広がる。「宗教圏」の本家本元が農耕に適さない乾燥地帯にあるのに比べて、「信心圏」は概ねモンスーン圏に重なる。気候と宗教の関係などまじめに勉強すると色々な仮説に出会いそうだがそれもまた今後のテーマにしておこう。

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私の人生、ヒマラヤサンドイッチ(1)

2012年10月18日 | うんちく・小ネタ

ブログを書いていると便利なことがある。一つはこれからの予定を書いておくと「あー、あの人は暫く不在なんだ」と知人に知らせることができる点だ。少し先の予定を書くと、11月3日夜から16日朝までネパール・トレッキングに出かけている予定だ。

ワイフを含めて、私が若い時ヒマラヤ登山に出かけたことを知っている人からは「またネパール?」と言われることがあるが、実はネパールは初めてである。学生時代に登りにった山はパキスタンの奥にあった。そこと今回行く予定のネパールのランタン渓谷は2千kmも離れている。

学生時代のヒマラヤ登山は7,400m弱の未踏峰への初挑戦(残念ながら僕らの隊は登ることが出来ず2年後に2次隊が初登頂した)で、今回は多くのトレッカーが歩いてきた山麓のトレッキングという大きな違いはあるものの、ヒマラヤの高い峰々を間近に見ることができる点では共通点がある。

学生時代とサラリーマンを卒業する時にヒマラヤに行くことができるというのは、登山愛好者として恵まれていると私は考えている。ネパールについてはこれをスタート点として、体力・気力・経済力が続く限り、何回か行ってみたいと思っている。だから「私の人生は、若い時と中年以降のヒマラヤ旅行でサンドイッチになっている」と言った次第だ。

トレッキングは登山に較べると楽だとはいえ、高度4千メートル程度の峠は越える予定で苦労も予想される。「どうしてそんな大変な思いをして、余り快適でもなさそうな宿屋を渡り歩くのですか?」という疑問の声が聞こえそうなので、先回りして私の答を書いておくと、少々気障だが一番大きな理由は「神様を感じるため」ということになる。

学生時代にヒマラヤに行った時、小さな氷河を上り詰め、峠にでるとその向こうに巨大な氷河が広がり、雲の多い空から「天使の梯子」と呼ばれる幾筋かの太陽の光が射している光景に出会ったことがあった。その時私はふとこれは神様のなされたことだと感じた。

その後の人生において私は特定の宗教、特定の神様を信じるということはなかった。しかし高い杉木立が続く神韻とした神社の参道を辿っている時など、ごくたまのことではなるが、神の気配を感じ粛然とすることがあった。

今回のトレッキングでランタンリルンなどヒマラヤの峰々を見た時、神を感じることができるだろうか?自分はまだそのようなみずみずしい心を持っているだろうか?・・・・と思うと楽しみでもあり、そして少し不安でもある。

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米大統領選、ファイナルステージは女性票獲得競争

2012年10月18日 | 国際・政治

日本のテレビや新聞でも、約3週間後に迫った米大統領選が大きな話題になっている。火曜日の第二回のテレビ討論で一回目劣勢にだったオバマ大統領が挽回し五分五分になった、というような報道をしているメディアもあった。

だが私は以前からこのブログで述べているように、劣勢だった第一回目討論も含めてオバマの再選見通しは高いという判断を変えていない。それは現職の強みに加え、住宅問題や雇用問題に明るさが見え、消費者センチメントが改善しているからだ。

ギャラップのHPを見ると、第二回テレビ討論会前の調査結果が出ていて、有権者全体ではオバマ・ロムニー支持とも47%で拮抗している。ただしこれはまもなく変わる可能性が高い。

ニューヨーク・タイムズの州別の選挙人(全体で538名)獲得見込みを積み上げた調査ではオバマ237名(内確実視されるのは185名)、ロムニー191名(確実視されるのは158名)となっていてオバマ有利だが、過半数の270名には至っていない。浮動票は110票ある。そこで両候補はTossup五分五分と言われている州での勝利を目指して選挙戦のファイナルステージに入っていく。

最後に勝利の鍵を握るのは、これら激戦州の女性票であるが、ポイントは女性と男性では選挙における関心事のプライオリティが異なるという点だ。

ギャラップによると、男性は仕事(38%)、経済(37%)に最大の関心を置くが、女性の最大の関心事は妊娠中絶(39%)で、かなり離れて仕事(19%)、医療保険(18%)、経済(16%)が続いている。

これらの問題についてオバマ・ロムニーいずれが上手く対処すると思うか?というギャラップの問いに対して、女性は総じてオバマを高く評価している。

例えば失業問題については、男性の43%はオバマに旗を上げ、52%がロムニーに旗を上げているが、女性はオバマ52%、ロムニー44%である。

避妊問題については男女とも大差でオバマに旗を上げている。男性はオバマ57%、ロムニー34%、女性はオバマ55%、ロムニー35%だ。

以上のような状況を踏まえると、今後ロムニー陣営から「ロムニーは女性を尊重している」という強い反撃が予想されるものの、オバマ優勢は動かないだろうと私は判断している。

見ていて迫力があり面白い大統領候補の直接討論。マスコミが一生懸命取り上げるのは結構だけれど、日本の政治家は何をしているのだろう。問題がないのであれば、ダンマリを決め込んでいるのも良いが、問題山積みの中でトップ討論が進まないのは職務怠慢のような気がする。マスコミにはこちらの方の尻を叩いて欲しいものだ。

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