金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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骨太方針・潜在成長率2%、まず政治の生産性を上げて貰わないと

2015年07月01日 | ニュース

昨日(6月30日)政府は経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を閣議決定した。歳出抑制の具体的目標を明記しなかったことで、成長重視の色合いが濃いと言われているが、成長戦略の具体策に乏しい。

骨太方針では潜在成長率を2%以上にするとしているが、エコノミストの間では2%の成長率は高望み過ぎるという声が多い。

潜在成長率を高めるには労働と資本の投入量を増やす・生産性を上げるの2つの方法があるが、人口減少が進む中で労働投入量を増やすことは困難だ。だとすれば労働生産性を上げる必要がある。

しかし現在の日本の労働生産性(=GDP/就業者数)は、OECD34か国中22位と低い。主要7か国の中では20年連続で最下位である。

潜在成長率を高めるには、まず労働生産性の向上を図る必要がある。特に労働生産性を高める必要があるのは、サービス産業と企業の管理・経営部門だ。

生産性はアウトプット/インプットだから、個々の企業ではインプットを減らすと生産性は上がる。つまり投入する人員を減らすと生産性は向上する。そして減らした人員を新たな経済分野に投入すると、経済全体ではアウトプットが増えてくる。これが成長戦略だ。つまり生産性の向上は、雇用の大胆な流動化を伴うと考えてよい。だがそこには既得権と労働法の壁が立ちはだかり、中々大胆な改革は難しい。無論政府も色々な施策を実施している。確定拠出年金のポータビリティ向上、配偶者控除の見直しなどである。しかし「同一労働・同一賃金」法案はすっかり骨抜きにされてしまったようだ。

私は今政治にとって必要なことは「検討」したり、既存の勢力にあたり障りのない「骨抜き法案」を作ることではなく、生産性の改善を促進する具体的な政策を打ち出すことだと思う。

日本の生産性の低さの一つの原因は「結論を出さない会議を長々とやっている」ことにあると指摘する声は多い。政治がその最たるものかどうかは分らないが、「必ず具体的成果(アウトプット)を出す」という姿勢でやって貰いたいものである。

高齢化の進展・グローバル化・人工知能活用による第4次産業革命の兆しなど、我々を取り巻く環境は過去の規範で解決できない領域に入りつつある。政策・法令の「朝令暮改」は困るが、一度決めたことはテコでも動かさないという頑な姿勢も間違っている、と私は思っている。

 

 

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