今週の土曜日(7月11日)名古屋でセミナーを行う予定だ。テーマは「シニアの快適生活設計」でサブタイトルは「ライフプランニングファイルの作り方」だ。ライフプランニングファイルとは「人生の設計図面」と考えて良い。アクティブシニアという言葉は現在のところ概ね65歳から75歳位の元気なオジサン・オバサンを指す言葉だが、今後元気な高齢者が増えてくると80歳を超えてもアクティブシニアと呼ばれる人が増えるだろう。アクティブシニアは年齢で分けるより、人生を前向きに楽しむ気構えを持っているかどうかで区別する方が良い。
さて多くのサラリーマン(ウーマン)にとって、退職後は色々な意味で未知の領域に入る。職場の仲間との接点は少なくなり、地域社会やボランティアの仲間との付き合いが増える。また何らかの形で仕事を続ける人にとっても、仕事の環境は大きく変わるはずだ。
そこで提案したいことの一つが「プロジェクトマネジメント的発想」ということだ。プロジェクトとは大きくいえば、オリンピックで新しい競技施設を作るとか今年の秋から導入されるマイナンバー制度に対応する社内のコンピュータシステムを構築するなど「組織内外の人材を集めて限られた時間の中である成果を上げる」業務と考えてよい。だがもっと小さなことでも今まで経験したことのない新しい取組は「プロジェクト」と考えてよいと私は考えている。プロジェクトの反対概念はルーティンワークで、毎日決まった作業を行う業務だ。
シニアライフをアクティブにするか退屈なものにするかは、シニアライフを「何か新しいことに取り組むプロジェクトの機会」と捉えるか「朝起きてご飯を食べて・・・テレビを見て・・・寝る」というルーティンの繰り返しと捉えるかにカかっている。後者と捉えると退屈だが、前者と捉えるとサラリーマン時代にできなかったことを実現する絶好の機会と捉えることができる。
だが自分の夢=プロジェクトを実現するためには、人生のプロジェクトマネージャーとして幾つか頭に入れておくべきことがある。
マネジメントの神様と呼ばれたピーター・ドラッガーはマネージャーの仕事として「目標を設定する」「組織する」「動機づけとコミュニケーションを図る」「評価を測定する」「人材を開発する」の5つをあげた。そしてマネージャーの資質として「真摯さ」が唯一にして不可欠な条件だと断言している。
アクティブシニアライフのプロジェクトは「収入を増やす」ことよりも「人のためになることをする」「仲間と楽しみを増やす」ことに力点を置いたものが多いだろう。「楽しみを増やす」プロジェクトについて、ドラッガーの言葉を展開するならば「真剣に遊ぶ」ということだ。遊びだからといって手を抜かないということだ。
ところでプロジェクトには何人かの利害関係者が係ることが多い。独身者でなければ、配偶者や子どもなど家族も重要な利害関係者だ。
場合によっては、この利害関係者全員の賛成を得られない場合もあるだろう。「賛成を得らえない」からプロジェクトを止めるでは話はおしまいだ。自分が価値があると思うプロジェクトは「全員の賛成を得られなくても、納得する」解決策を提案しながら進めることが肝心だ。この納得を無視して、一人で突き進むとそれは「暴走オジサン」の世界になる。それではプロジェクトは長続きしないし、仮にそのプロジェクトで成功しても、関係者(たとえば家族)との関係は悪化する。
シニアのプロジェクトマネジメントとは「関係者全員の賛成は得られなくても、納得を引き出す」訓練の場であると考えることができる。
この訓練は例えば私は「遺産相続」争いを防ぎ、円滑な相続を進める上で役に立つと考えている。
アクティブシニアライフのキーワードをプロジェクトマネジメントとすると勉強することは多い。
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