政府は科学技術イノベーション予算戦略会議で、来年度予算概算要求で自動走行自動車の開発等に重点を置くと発表した。
そこで自動車の自動走行はどの位先に可能になるのだろうか?ということを少し調べてみた。
米国の市場調査会社は、自動運転自動車で先行するグーグルが2020年ごろには限られた地域向けに完全自動運転車(L5)の販売を開始するだろうと予測している。
自動運転自動車はある日突然発明される訳ではない。既にあるACC(Adaptive Cruise Control 前の車との車間距離をコントロールするシステム)やLKA(Lane Keep Assist 車線維持システム)などの先進運転支援システム(ADAS)に、GPS、カメラ、高度なセンサーと人工知能を組み合わせて徐々に最終形に向かうはずだ。
業界では発展段階をL1~L5の5段階に区分している。L1の前つまりL0は完全に人だけが運転しシステム的なサポートがない状態。
L1は駐車時のアシストシステム。L2は渋滞時の追突防止システム。L3は高速道路運転時の自動走行システム。L4になると高速道路での無人運転のレベルになり、L5では総ての道路で無人走行が可能になる。
KPMGは2025年には2025年にはL3レベルのシステムを実装した車の比率が8割に達し、2030年にはL4/L5のシステムを実装した車が25%に達すると予想している。
グーグルがシリコンバレーで自動運転自動車の安全性が人が運転する車より高いことを実証しているので、技術的なハードルはそれ程高くはないだろう。自動運転自動車は世界中で年間124万人が死亡し、5千万人が怪我をしている自動車事故を激減させる可能性を持っていると言われている。
しかし万一事故が起きた場合誰が責任を持つのか?といった法律面の整備等がネックになっていると言われている。また世界的な自動運転車の安全基準の統一も大きな課題だろう。
トヨタを筆頭に世界の自動車市場で健闘している日本の自動車メーカーだが、ADAS市場では遅れを取っていると思われる。
以下の資料は特許庁の自動運転自動車技術動向報告(平成26年2月)
この分野では富士重工が頑張っているが、BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲンのドイツメーカーのプレゼンスが目立っている。
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ここで自動運転自動車が自分の生活に与える影響を考えてみた。
私は3年前に買ったフォルクスワーゲンのゴルフに乗っているが、3年前は車線維持システムやアダプティブ・クルーズ・コントロールは付いていなかった。だが今のゴルフにはこれらのシステムが装備されている。つまり大衆車でもL2/L3のレベルまで進んできた訳だ。技術革新がこのレベルで一休みすると考えると比較的早い時期に車を買い替えるという選択もあるのではないか?と考えたりする(時間が経つとL0レベルの車の価値はどんどん下がると考えらるから)
次にこれから10年先を考えると私は75歳になっている。そろそろ運転免許を返上して車の運転を止める時期かもしれないが、もし自動運転自動車ができていれば、車に乗り続けるという選択があるかもしれない。
年をとっても車に乗り続けることが可能であれば、住む場所の選択にも幅がでるだろうし、旅行の方法も変わってくる。
これはごく一例だが、自動運転自動車の出現は自動車業界や運送業界等に極めて大きなインパクトを持つことは間違いない。
ひょっとすると高齢化と労働人口減少に直面する日本にとって救世主になる可能性がある、などとも考えている。このような投資には政府も積極的な予算を組むべきなのであろう。