金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

インバウンド・ディシティネーションとして魚沼をちょっと考察

2019年06月03日 | うんちく・小ネタ

先週末魚沼地方を旅したので魚沼のことが少し気にかかっている。何が気になっているか?というとこの地域には外国人旅行者が少ないのではないか?ということだ。私はスキーシーズンには毎年2,3度この方面に出かけているが、一部のスキー場を除くと、外国人スキーヤーは少ないと感じている。そこで「どうして魚沼は外国人旅行者は少ないのか?」ということを雑談風に考えてみた。

まず「雑談風」なので以下の点をご寛容頂きたい。

  • 「魚沼」の定義は曖昧 魚沼地方というと新潟県南部の小千谷市から湯沢町に広がる魚野川流域を指すが、ここでは南魚沼市と湯沢町をイメージしている。つまり越後湯沢を中心としたスキー場の多い地域を中心にモノを考えている。
  • 「魚沼」や新潟県の悪口をいう積りは全くない 新潟県には深田久弥の日本百名山中9座が存在する。越後駒ケ岳・平が岳・巻機山・谷川岳・雨飾山・苗場山・妙高山・火打山・高妻山だ。山好きの私は9座全部を登っているし、谷川岳や巻機山のように無雪期・積雪期ともに登っている山も多い。新潟県は私の中で、好きな県の上位に入る。
  • 外国人旅行者が多いことが良いとは限らない 人口減少の中で「インバウンドを増やそう」というのは、錦の御旗的になっている風潮があるが、私自身は「外国人旅行者が増えることが無条件に良い」とは考えていない。

さて前置きはこれ位にして「魚沼は外国人旅行者が少ない」という直観を統計的に検証してみることにした。なお短い時間の中で「魚沼に絞った外国人旅行者」統計を見つけることができなかったので「新潟県」全体の数字で代用する。

まず全旅行者の年間当たり人泊を見てみる。

観光庁の統計によると、平成30年度の全国の総人泊数は5億902万人で、県別では東京が6,120万人泊で断トツ。新潟県は969万人泊で全国16番目。ちなみにお隣の長野県は約倍の1,821万人泊で全国9位である。

次に外国人の延べ宿泊数を見てみよう。同年度全国の総外国人人泊数は8,859万人泊である。1位は東京で2,177万人泊だった。

外国人人泊数/総人泊数を計算すると全国ベースでは17.4%である。東京の場合は35.6%だ。つまり東京は全国比で外国人人泊数比率が倍ほど多いということができる。

では新潟県はどうだろうか?新潟県の外国人人泊数は、37万人泊で全国29番目。比率は3.8%である。お隣の長野県の外国人人泊数は146万人泊で全国12位、比率は8%である。長野県の外国人旅行者比率は新潟県の約倍である。

以上のことから「新潟県の外国人旅行者(比率)は少なく、その一部である魚沼のそれも少ない」と判断した。

ではどうして魚沼は外国人旅行者が少ないのか?

以下はこれまた直観的考察だが「観光対象となる巨大寺院や城郭や景勝地が少なくかつ分散している」ことが大きな理由。今回日本一の庵寺といわれている雲洞庵、三大渓谷の一つ清津峡、日本のミケランジェロといわれる石川雲蝶の彫刻がある西福寺などを回ったが、かなり分散しているので車を使わないと効率的に回ることができない。

次の大きな理由は「魚沼は全国屈指の水田地帯で観光立地を考えなくても経済が成り立つ」という点(ただし細かい考察をした訳ではない)。

最後にスキーリゾートとしての魚沼を考えてみた。この地域には苗場・かぐら・ガーラ湯沢など有名なスキー場が多いが、一人のスキーヤーとしての直観で述べるとガーラ湯沢を除いて外国人スキーヤーの比率は高くない。例えば長野県北部の白馬五竜スキー場などでは食券自販機の半分は英語オンリーとなっているが、魚沼方面のスキー場ではそのようなことはない。

首都圏から新幹線を利用すると2時間弱でゲレンデに立つことができる交通至便の距離にありながら、何故外国人スキーヤーが少ないのだろうか?

その理由の一つは雪質かもしれない。この地域は湿雪のドカ雪が降ることが多いので、乾いた新雪を求めて日本に来るオーストラリア人などの外国人スキーヤーには「ターゲット外」ということなのだろうか?

だが新雪を求めてやってくる外国人はゲレンデを飛び出し、バックカントリーを滑ることに無上の喜びを感じる。

私は標高が高くて軽い雪が降る「かぐらスキー場」などはバックカントリーの舞台として本邦トップクラスだと思うのだが、まだ外国人スキーヤーの姿を見かけることは少ない。首都圏に近くスキーヤーが多い「かぐら」としては、当面外国人スキーヤーの呼び込みに力を入れなくても良いと考えているのかもしれない。これまたguessに過ぎないが。

もっとも一人のスキーヤーとしては、バックカントリーエリアはもとよりゲレンデも空いている方が好ましい。だから個人的には魚沼地方が、特にスキーシーズンにインバウンドに力を入れないことは実は歓迎なのである。

変な結論?になってしまったので、この話はこれでお終い。

 

 

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タリフ・マン(トランプ)の行動は予測不能

2019年06月03日 | 投資

タリフ・マン(関税男)はトランプ大統領のあだ名だ。そのタリフ・マンが先週金曜日に「メキシコが不法移民を食い止める対策を講じないと、6月10日から5%ずつ段階的に関税を引き上げ、最終的には25%にする」と発表した。株式相場はこの突然の発表に大きく値を下げ、ダウは354ドル下落、日経平均も今日午前中は239ポイント下げている。

このメキシコへの追加関税についてWSJは強い論調で警鐘を鳴らしている。

まず社説の冒頭で「ドナルド・トランプ米大統領の政権下で常に懸念されていた最大の経済的リスクは、同氏の貿易への強いこだわりが、税制改革と規制緩和の効果を打ち消してしまうことだった。」(同紙日本語版より引用)と述べ、「タリフ・マンがどこで立ち止まるのかは、誰にも分からない。それは、経済にとって、そして恐らく自身の再選にとっても好ましくないことだろう。」と続けている。

WSJが追加関税を批判している最大の理由は「メキシコ国境の混乱の最大の原因は移民を誘い込むような米国の政策にあり、メキシコの力では解決できない」ことにある。

また同紙は別の記事Tariffs against Mexico would hit many goods that previously avoided penaltiesで、「もし関税が25%まで引き上げられると2020年の米国経済成長率にとって0.7%の減速要因となり(Oxford Economics)、減税と財政赤字拡大による景気浮揚効果は打ち消され、経済成長率は1%以下になる可能性がある」と述べている。

金曜日の株式市場でメキシコからの部品供給に依存する自動車メーカーの株が大きく値を下げたように、株式相場にとって大きなマイナス要因であることは間違いない。

この突然の追加関税に対する批判は、それが米国経済にマイナスを与えることだけではない。

米国が片手で貿易協定(米国・カナダ・メキシコの貿易協定~各国の批准待ち)を結びながら、もう一方の手で自己の主張を通すべく「関税」という武器をふるうことに対する批判だ。

一方メキシコはこの問題の解決に向けて米国に使節団を派遣する予定、と報じられている。

相手国を交渉の席に着かせる手段として、追加関税が常套手段として使われるようになると、その度に産業界や消費者そして株式市場は振り回されることになる。タリフ・マンの行動を予測できないことが経済状況が良好な米国の最大のリスクになりつつある。

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6月3日紫陽花満開

2019年06月03日 | うんちく・小ネタ
庭の紫陽花がほぼ満開。
梅雨入り近そうだ。
因みに昨年の梅雨入りは6月6日だった。
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