昨日は名古屋から上京してきた山仲間を交えて山仲間3人で八重洲の「ふくべ」で一献傾けた。
名古屋の知人は定年退職前の引継挨拶で上京してきた。飲み始めてしばらくして漢詩の話になり、私はうろ覚えの曹操の短歌行の話をした。
短歌行の冒頭の部分を意訳で述べると次のとおりだ。
「酒を前にしてはまさに歌うべし 人生幾ばくぞ 人生は朝露のように短い 去っていく日は多く、慷慨してこの憂いを晴らそうと思うが心の憂いは晴れない。この憂いを晴らしてくれるのは酒だけである」
曹操は赤壁の戦いの前に御座船の上でこの詩を詠んだ。酒を前にしてまさに歌うべしというのは、俺の詩を皆で歌って憂いを晴らしてくれという意図なのだろう。天下統一を目前に控え、曹操の胸の内を去来したのは、それまでの多くの戦いの苦労と幾ばくかの悔悟の念か・・
名古屋の友人も今その長かったサラリーマンの重荷を降ろそうとしている。長かったが去ってみれば、勤め人としての人生もまた朝露の如きものかもしれない・・・・
難しいことなど言わずに好きな酒だから楽しく飲めば良いのだが、少し薀蓄をたれてみたくなるのが、山仲間の悪いクセである。