欧州や日本の銀行には逆風が吹いている。
WSJによるとドイツ銀行は、1.5万人から2万人の人員削減を検討している。これは9.1万人のドイツ銀行の従業員の16%から22%に相当する数だ。主なリストラの対象となるのは、米国の銀行部門と投資銀行部門全般だ。
ドイツ銀行の米国でのオペレーションは、マネーロンダリング疑惑で当局の査察を受け、トランプ大統領やその側近に対する融資問題で米下院委員会から詳細な説明を求められている。
投資銀行部門はドイツ銀行の収入の半分を稼いでいるが、コスト高や市場シェアの低下に苦しんでいる。株主やアナリストからは、この不採算部門に大鉈を振るえ、という声が高まっている。
ドイツ銀行は過去に数度の増資を行い、投資家は株式の希釈化を味合わされてきた。従って現時点で増資による資本増強という選択肢は取り難く、大規模な人員削減を行わざるを得ないようだ。
具体的なリストラ計画は7月後半の第2四半期決算方向時に明らかになる可能性が高い。
話は変わるが、昨日(6月28日)三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATMを共同運営する方針を固めたというニュースが流れていた。
ニュースによると、両行は駅やショッピングセンターにある2,800あまりのATMの共同化を計画しているという。
また今年の9月からは店舗の外にあるATMについては、どちらの銀行のキャッシュカードを使っても平日の日中は無料で現金の預け入れ・引き出しを行えるようにする計画だという。
ここでちょっと気になるのは「みずほはどうしたの?」ということだ。これは私の証拠のない推論だが、システム統合対応に追われてみずほは、今回のATM共同化に乗り遅れたのではないだろうか?
「乗り遅れている」というと、みずほ銀行は普通預金の無通帳化にも少し遅れているようだ。
実は仕事の都合で、ごく最近みずほ銀行に普通預金を新規に作ることになり、インターネット経由で口座新約手続きを行った。
その時、みずほ銀行の中の「インターネット支店」を取引店に指定すると無通帳の口座を開設することになるが、実店舗を指定すると通帳ありの口座しか開くことができない。
一方三菱UFJ銀行の場合は、今年の5月から「店舗で新たに口座を開く人は原則無通帳のデジタル通帳を利用して貰う」方針を固めた。
無通帳化については三菱がリードしているといえる。
マイナス金利下の欧州や日本の銀行には逆風の日々が続く。ATMや通帳のようなコスト要因をどこまで削減できるかが当面の課題だ。それでも追いつかない場合は、ドイツ銀行のように大鉈を振るわざるを得なくなるだろう。