世の中には色々なことを研究している人が多いと感心する。
WSJにこんな研究の話がでていた。それは「僅かのお金が入っている財布と沢山お金が入っている財布ではどちらが戻ってくる可能性が高いか?」という実験の話。
チューリッヒ大学などが共同で40か国にわたって実験を行ったところ、「日本円にして約1万円入ってた財布が戻ってきた割合は72%、約15百円入っていた財布が戻ってきた割合は61%で全くお金が入っていない財布が戻ってきた割合は46%に過ぎなかった」
WSJは「純粋に経済的なアプローチでは、人々は大金が入っている財布を秘匿しようとするよ考えるが、経済学では人間の正直さやセルフイメージを説明できないことがしばしばある」と述べていた。
この問題をざっくと整理すると人には「大きな悪事(大きな金額の秘匿)には抵抗があるが、小さな悪事(小さな金額の秘匿)には手を染めやすい傾向がある」ということだろうか?
もっとも「毒を食らわば皿まで」という諺もあるので、小さな悪事を重ねていくと図太くなり、巨悪に手を染めるようになるともいえるのだが。
さて地域別に財布の戻り具合を見るとデンマーク、スウェーデン、ノルウェーなど北欧諸国の戻り率が7~8割と高く、東南アジアや中国などの戻り率は低かった。日本は実験対象外だったが、もし実験が行われたなら、私は北欧並みの高い戻り率を示したろうと考えている。
最近私たち夫婦は別々に財布を落としたことがあったが、そっくりそのまま手元に財布が戻ってきた。
私は近所のイオンモール内で落とし、家内は財布を新潟の道の駅のカウンターに置き忘れていたのだが無事戻ってきた。ただし私の場合は戻ってくるまで少し時間がかかった。理由はモールの警備員が落し物を警察に届ける頻度が週1,2回と少ないことにある。家内の財布の場合は財布の中の健康保険証を見た道の駅の人が健保組合に電話をかけ、健保組合から私の携帯電話に連絡があったので早期に解決に至った。
私たちの財布にも一万円札が数枚入っていたが、現金大国の日本では珍しい話ではないだろう。
前記の実験を踏まえれば、少し多めに現金を財布に入れておいた方が戻ってくる確率が高くなるようだが、本人の連絡先が容易くわかるようにしておくのも返却率を高める方法だろう。