金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

反トラスト調査問題でナスダックはコレクション入り

2019年06月04日 | ライフプランニングファイル

昨日(6月4日)ハイテク企業の上場が多いナスダック総合指数は1.6%下落。この結果5月の高値から同指数は10%以上下落し、コレクション(調整局面)に入った。

下落の引き金は日中に流れた「米連邦取引委員会がフェイスブックに対する潜在的な反トラスト調査権を確保した」というニュース。昨日フェイスブックの株価は7.5%下落した。また司法省が主な調査権を得た報じられたグーグルの親会社アルファベットの株価も6.1%下落した。

マスコミによると米連邦取引員会がフェイスブックとアマゾンを、司法省がグーグルとアップルを反トラスト疑念で調査することになった。

またこれとは独立して、下院司法委員会もデジタル市場の競争問題について調査を行うことを公表した。

WSJは司法委員会の委員長ジュロルド・ナドラー氏の「オープンなインターネットは巨大な利益をアメリカ人にもたらしてきた。しかし一握りのゲートキーパー(フェイスブック、グーグルなど)が、オンライン取引、コンテンツ、コミュニケーションの動脈をコントロールしている証拠が積みあがりつつある」という言葉を紹介していた。

当局がGAFAと呼ばれるIT業界の巨人に対して反トラスト疑惑で調査に入る背景には消費者や政治家の一部に批判の声が上がっていることがある。

だが一方「IT業界に対する取締り強化は経済と消費者に害を及ぼし革新と成長を窒息させる」という声もある。

検索エンジンにしろ、e-コマースにしろ、仕掛けを維持するには巨大なサーバ群や多くのIT人材が必要である。もし弱小なサービスプロバイダーが手薄い装備でこのようなサービスに乗り出すと、ネットワークや情報保護の安全性がたちまち問題になることは間違いない。

「反トラスト」問題と情報産業の安全性・効率性は悩ましい二律背反関係にあると私は考えている。

従って現時点で司法当局の動きがIT業界をどのように変えるのか(あるいは変えないか)を判断するのは困難だ。

だが投資の観点でいうとGAFAに大きな暗雲がかかってきたことは間違いないだろう。少なくとも当面は。

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