政府が在宅勤務の旗を振っても、全体としては中々在宅勤務が進まないようだ。
仕事の中には現場で相手方と対面で行うものやモノを運ぶなど肉体を使わないといけないものが結構あるから在宅勤務には限度がある。だがもう少し進んでも良いはずなのだが進まないのは障壁があるからだ。
米国などと比べて私は三つの障壁がある考えている。
第一の壁は「ハンコ」印鑑の壁だ。印鑑には社内で上司が押すハンコや取引先・役所等に出す書類に押す会社の印鑑がある。前者についてはインターネット上の稟議書回覧を行っている会社も増えているが後者は中々改まらない。だから会社のハンコを押すためだけに出社する人が必要になる。
稟議についてはネット上の回覧で簡素化しそうなものだが、決裁に至るまで多くの人の承認を得ないといけないからやはり時間がかかる。書類が回ってくるから読む、読むから時間がかかるのである。もっと権限を委譲したり、一人一人の責任を明確にすることで稟議書決裁に要する時間を減らせるのだが。
最後は「勤務時間主義」だ。つまり「どれだけ成果をあげたか?」というoutputで評価するのではなく「どれだけ働いたか?」という投入時間=勤務時間inputで評価するという暗黙の人事考課システムだ。今時多くの会社は「成果主義」をうたっているが、中々定着せず、実際にはどれだけ働いたか?で評価が行われているのではないだろうか?
そして会社は個々人の仕事や責任範囲をあいまいにして「皆で頑張ってくれ」的な指示を出す。だから上司は自分の目の届くところで部下が働いていることを好むのである。
日本で在宅勤務が政府が旗を振るほど進まない理由はこのあたりにある。