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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

在宅勤務を阻む三つの壁、「ハンコ」「稟議」「勤務時間主義」

2020年04月16日 | デジタル・インターネット

政府が在宅勤務の旗を振っても、全体としては中々在宅勤務が進まないようだ。

仕事の中には現場で相手方と対面で行うものやモノを運ぶなど肉体を使わないといけないものが結構あるから在宅勤務には限度がある。だがもう少し進んでも良いはずなのだが進まないのは障壁があるからだ。

米国などと比べて私は三つの障壁がある考えている。

第一の壁は「ハンコ」印鑑の壁だ。印鑑には社内で上司が押すハンコや取引先・役所等に出す書類に押す会社の印鑑がある。前者についてはインターネット上の稟議書回覧を行っている会社も増えているが後者は中々改まらない。だから会社のハンコを押すためだけに出社する人が必要になる。

稟議についてはネット上の回覧で簡素化しそうなものだが、決裁に至るまで多くの人の承認を得ないといけないからやはり時間がかかる。書類が回ってくるから読む、読むから時間がかかるのである。もっと権限を委譲したり、一人一人の責任を明確にすることで稟議書決裁に要する時間を減らせるのだが。

最後は「勤務時間主義」だ。つまり「どれだけ成果をあげたか?」というoutputで評価するのではなく「どれだけ働いたか?」という投入時間=勤務時間inputで評価するという暗黙の人事考課システムだ。今時多くの会社は「成果主義」をうたっているが、中々定着せず、実際にはどれだけ働いたか?で評価が行われているのではないだろうか? 

そして会社は個々人の仕事や責任範囲をあいまいにして「皆で頑張ってくれ」的な指示を出す。だから上司は自分の目の届くところで部下が働いていることを好むのである。

日本で在宅勤務が政府が旗を振るほど進まない理由はこのあたりにある。

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アフターコロナの主軸、アマゾン高値更新

2020年04月16日 | 投資

昨日(4月16日)の米国株は、前月の小売売上高指標が予想より悪かったことなどから、大きく下落した。

ダウは445ドル(1.86% )下落。その中で堅調だったのがアマゾン株。ザラ場で最高値を更新した。アマゾンの終値は2,307.68ドルだが、バンクオブアメリカのアナリストは同社株は無効12カ月以内に2,480ドルまで上昇すると予想する。もしこの予想が正しければ、ここからなお7.5%上昇する余地があることになる。

昨今の米国株の上昇はショートカバーなど技術的な要因が多いが、投資家がコロナウイルス収束後の金融経済環境に目を向け始めたことも影響を与えている。

金融環境からいうと、低金利の中で超金余りの状況が続くということだ。余った金は株式市場に向かうので早晩株価は上昇するというのが歴史が示唆するマクロ的な見方だ。

また米国についていうと、抑圧された消費の反動が起きることは間違いない。つまりレジャー産業や飲食業に消費者が殺到して消費景気が起きる。

一方生産者側ではコロナウイルス感染拡大の反省から中国に過度に依存したサプライチェーンの見直しが起きる。またテレワークなど業務の効率化やBCP(事業継続計画)強化も大きな課題だ。

これら様々なニーズの交点にあるのがアマゾンなのだ。まず足元では外出制限圧力が高いので、ネットによる買い物や電子書籍・音楽配信などでアマゾンの売り上げは伸びる。企業はテレワークを推進するので、ビデオ電話などの需要が増える。これらのサービスを提供している会社はアマゾンやマイクロソフトのクラウドサーバーを使っているので、クラウドサーバー部門の売上が伸びる。

そしてこれは一時的な現象にとどまらず、BCP強化などを通じてアフターコロナにも大きな商機をもたらす。

よってアマゾンは巨大な商機の交点にいるのだ。アマゾン株が高値を更新するのはそれほど不思議ではない。

なおある米国のアナリストはアマゾン株以外ではマイクロソフト、ウォールマート、インテルの株を推奨していた。これらの銘柄も大きなビジネスチャンスを持っているからだ。

そしてアフターコロナの株式ラリーで含み益を抱えて財布のひもが緩んだ米国の投資家は大型耐久消費財の購入や旅行にお金をつぎ込むようになる。それが楽観的なポストコロナのシナリオだ。

コロナウイルスはシニア層を含め世界中の人を混乱と不安の渦に巻き込んだ。だが楽観的なビューを持つ人には大きな恵みをもたらす可能性がある。いやより正確にいうと楽観的ビューを持つ人はそうでない人より恵みを受ける可能性が常に高いというべきだろう。

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