昨日(8月19日)の米国株は、ダウは下げるがS&P500とナスダックはプラスを維持するというパッとしない展開だった。そんな中CNBCでジム・クレイマーが「インフレ懸念がある時こそ価格決定力のあるアマゾンを買え」と推奨していた。
クレイマーはseparate the wheat from the chaff(もみ殻の中から小麦を選べ)と言っているが、小麦は価格決定力のあるアマゾン、マイクロソフト、アップルであり、コストコ、ネットフリックスもその仲間に入っている。
少し前まではワクチン効果で景気は回復基調をたどるが、連銀の金融引き締めはまだ先の話という楽観的ムードが漂っていたが今は様相はすっかり変わっている。
先月のFOMC議事録が公開されると連銀の債券購入削減が早ければ9月にも始まるという見方が広がった。悪いことに米軍が撤退を始めたアフガニスタンではタリバンが首都カブールを占拠するという地政学的リスクが顕在化した。ファイザーのワクチンについては、査読未了ながら4,5カ月で効力が低下するなどの研究成果が発表されるなどコロナウイルスについても対策が長引きそうだ。
マイナス要因が目立ち始めたが、別に急に悪材料が出始めた訳ではない。事実はそこにあったのだが、根拠の乏しい自信過剰により事実を見つめることを避け楽観的シナリオを期待していた反動というべきだろう。
典型的な例は米軍のアフガニスタン撤退だ。撤退という目標が先にきて、撤退に伴うタリバンの攻勢リスクを等閑視していた。
投資の世界でいえば、出遅れ株もやがて相場に追いつくだろうというのも甘い読みだったのかもしれない。
株価が安い会社は価格競争力が乏しいなどそれなりに安い理由があるのだ。
不確実性が高まった(というか楽観的見方の後退で不都合な真実が浮かび上がってきた)中で、ジム・クレイマーの推奨は正しい。
Separate the wheat from the chaffという言葉は「疾風に勁草を知る」と訳しても良いのではないかと私は考えている。
パンデミックの中で勁草だったアマゾンやマイクロソフトの強さが再び際立つ時期が近いかもしれない。