先進国経済がコロナの後、回復基調にあるのに較べ、中国経済は苦戦している。中国経済の苦戦はかなり前から明だったが、先週不動産大手の恒大が米国で破産証申請をしたことや薄利多売で売上を伸ばしてきた碧桂園Country Garden の破綻懸念が噂されるなど、中国経済に関する悪いニュースは投資家のみならず一般の人々の耳目を集めている。
WSJはChina's 40-Year boom is over. What comes next?「中国の40年におよぶ成長ブームは終わった。次にくるものは?」という記事を掲載していた。
中国の不動産業の崩壊と経済成長鈍化の予想は、しばしば30年前の日本のバブル崩壊に例えられる。しかし中国のバブル崩壊がアメリカに与える影響の大きさは日本のバブル崩壊の比ではない。
その第一の理由は、中国の経済規模の大きさや米国企業の中国への売上依存度の高さだ。つまり中国経済の著しい停滞は米国企業の売上高減少と企業の株価下落につながる。
第二の理由は、経済成長の鈍化による国民の不満を逸らすため、習政権が国内では抑圧的な政策を採り、対外的には高圧的な政策を採る可能性が高いと予想されることだ。
対外的な高圧的政策としては台湾に対する緊張が高まるだろう。
ただ長期的に見ると経済規模の点で中国が米国を凌駕する可能性はかなり遠のいたといえる。
中国の不動産バブル崩壊とその後の景気低迷は日本にも大きな影響を及ぼす。その影響は米国が受ける影響よりはるかに大きい。
今米国の株式市場では、中国経済の鈍化が株価に与えるマイナス影響について色々な意見が出ているが、日本の株式市場はもっと大きな影響を受けることは間違いない。それは日本経済の中国依存度の高さとある種の海外投資家は、日本株を中国投資の代替として買っていた面があると考えられるからだ。
日本株の頭は重くなるだろう。
WSJの記事のポイントを紹介しておこう。
- 経済危機問題の専門家コロンビア大学の歴史学教授Tooze氏は「我々は経済史上最も劇的な軌道のギアチェンジを目の当たりにしている」と述べている。
- 1978年に鄧小平が「改革開放」を始めて以来、中国は景気循環に逆らい一貫して成長路線を走ってきた。この間中国の一人当たりGDPは25倍に増え、8億人の人々が貧困層から脱却した。
- 中国の経済成長を牽引したのはインフラ投資や不動産投資など固定資産への投資で、2088年から2021年の間のGDPに対する固定資産投資比率は44%に達している。これは世界平均の25%や米国の20%に較べて非常に高い水準だ。
- しかし過剰なインフレ・不動産投資は壮大は無駄な投資を生んでいる。中国の西南財経大学の調査によると「中国都市部のアパートの約1/5または少なくとも1.3億万戸が2018年には空室だったと推定される。
- 中国の最も貧しい省の一つである貴州省は1,700以上の橋と11の空港を誇っている。この空港の数は中国トップ4都市の空港の総数を上回っている。