金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ジェロントロジ―(老年学)の箴言集⑥~身体は日々少しづつ労動すべし

2023年08月29日 | ライフプランニングファイル
 江戸時代の儒学者にして医師の貝原益軒の養生訓に「身体は日々少しづつ労動すべし 久しく安座すべからず」という教訓があります。労動というのは体の部分や器官を動かすことで現代風にいうと「毎日体を動かしなさい。じっとしていてはいけません」という意味です。益軒先生は「朝晩体を動かしていると消化や血液循環が良くなり、針や灸に頼らなくても健康を維持できる」と続けています。養生訓には腹八分目や運動のすすめなど今日の医学から見ても生活習慣病の予防や改善に貢献する教えが色々書かれています。もっとも中には現代の医学の知識から見ると的外れなアドバイスもありますが・・・
 このことは現代の医学の知見の中にも、後世的外れだったというものがありうるということを示唆しています。
 しかし「運動が健康に良い」ということは、益軒先生の頃から現代まで変わらない教えですし、これから先も健康寿命を伸ばす上で最も重要な対策の一つであり続けるでしょう。
 ただ健康を維持するのに、どれ位の運動量が必要か?ということについては、色々な研究が行われています。そして健康維持のための運動量のガイドラインも時々変わっています。
 早稲田大学等の研究によると「1日5,000歩~7,000歩歩く運動量が死亡リスクを低下させ、それ以上歩いても死亡リスクは減らない」と結論つけられています。5,000歩歩く時間は40分程度だから厚生労働省が推奨する「+10(プラステン)」の65歳以上は1日40分体を動かそうという運動とも平仄があっています。この研究結果が正しいとすれば、1日1万歩も歩く必要はないということになりますね。
 また米国の保健福祉省が推奨する「身体活動に関するガイドライン2018年」では、成人に対し1週間に150分以上の中強度の有酸素運動(または75分以上の高強度の有酸素運動)および週2日以上の中強度の筋肉トレーニングを推奨しています。
 フレイルの予防には歩くだけではなく、筋肉トレーニングも必要でしょうね。
 ところで日々の運動を阻害する要因がありますね。
 第1はこのところの猛暑です。私はスポーツジムのトレッドミルの中でジョギングをしていますが、自宅からスポーツジムに通う間が暑く、猛暑の日は二の足を踏みます。
 コロナの感染防止でジム内のアクティビティが制限を受けていた時もジムに通う人は相当減っていましたから運動不足に陥っていた人は多かったのではないでしょうか?
 熱中症やコロナ感染は予防できたけれど、運動不足でフレイルになるリスクは高まっているかもしれませんね。
 
 
 
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ガソリン価格の上昇がインフレ疲れのアメリカ国民を直撃

2023年08月29日 | ライフプランニングファイル
 日本でもガソリン価格の上昇は大きな話題になっていますが、アメリカでも大きな話題です。
 WSJにRising Gasoline Prices hit inflation-weary Americansという記事が出ていました。今後のアメリカのインフレ動向を予想する上で、またガソリン価格の動向を予想する上で参考になるところがあるかもしれません。
 記事は最近のガソリン価格の上昇は「歓迎できない昨年の夏の記録的なガソリン価格の上昇をデジャブとして思い出させる」と書き出します。
 現在のガソリン価格は1ガロン3.82ドルと書いてありますから、日本円に換算すると148円/Lになります(1ガロン=3.78L 1ドル=146円として)。
 昨年ロシアがウクライナに侵攻した時、原油価格は1バレル120ドルに達し、ガソリン価格は5ドル/ガロンを超えてきたため、バイデン政権は緊急用備蓄ガソリンを放出してガソリン価格の抑制を図りました。
 その後原油価格は下落しましたが、サウジアラビアやロシアの減産効果で現在の原油価格は1バレル80ドル近辺です。
 ガソリン価格を押し上げている要因は他にもあります。一つは米国の製油所が、コロナ騒動期間中メンテナンスを延期していましたが、今そのメンテナンスに取り掛かっているため、ガソリン生産能力が低下していることです。
 また猛烈な暑さのため、一部の製油所で操業停止が起きていることもガソリン価格の上昇を招いていると分析されています。
 さてガソリン価格の上昇は景気や物価動向にどのような影響を与えるのでしょうか?
 ダラス連銀の経済政策上級アドバイザーのKilian氏は「消費者やビジネスに与える影響は管理可能な範囲」と言っています。一方クリーブランド連銀はガソリン価格の上昇は今月の消費者物価を前月比0.8%上昇させるだろうと推測しています。
 ガソリン価格の上昇がCPIを引き上げ、連銀の政策金利引き上げを後押しする可能性はありますね。
 一方今後ガソリン価格が低下する材料としては、生産コストの高い「夏ガソリン」からコストの低い「冬ガソリン」に変わっていくことで、価格上昇圧力が緩和されると考えられています。
 ガソリン価格は、住居費用やサービス費用に較べるとCPIに与える影響は小さいのですが、人件費の上昇などとともに、生産コスト上昇要因となり、事業者側はコスト吸収のため、雇用圧縮や販売価格引き上げに動くため、景気の悪化要因であることは間違いありません。


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