土曜日の朝日新聞に「大規模なシステム障害のため、みずほ銀行の西堀頭取が6月にも辞任する」という観測記事が流れた。土曜日の朝日新聞は読んでいなかったが英文ロイターに朝日の記事が引用されたので知った次第。
私は西堀頭取とは面識がないが、彼は高校(京都教育大学附属高校)の2年後輩であり、かつワイフの同級生である。ワイフによると「高校時代は優秀だったと思うけど目立たない人だった」ということだ。歴史の浅い高校(私が第2期生)の中では、ビジネス界の一つの頂点までいった人物といって良いだろう。不本意と思われる辞任(今のところマスコミ人事だが)に同情と同窓生としての寂しさを感じざるを得ない。
ところで「みずほのシステムトラブルの本質的原因は何だろう?」ということを少し考えてみた。
朝日の記事によると古いシステムを改善せず、トラブルを想定した体制も整えていなかったことがわかり、被害を広げた経営の責任は免れないと判断した。
トラブルを想定したマニュアルや体制が整っていなかったため、復旧作業が混乱。他のシステムも止めて入出金を確認しなければならなくなり、障害が全体に広がった。
約20年使っているシステムの老朽化に対応してこなかったため、最新システムと違ってプログラムが複雑なままだった。これも復旧を難しくさせた。
ことが指摘されている。
これだけを見るとシステム面の体制不備が問題の根幹ということになるが、私は業務や商品面の整理・統合が進んでいないことがより問題の本質ではないか?と推量している。
銀行システムに限らず、システムは万能手段ではない。システムは商品やサービスを「自動処理化」したものであり、システムを合理化するには、まず商品やサービスを合理化し、無駄を省いていかなければならない。システムの限界を考えながら商品やサービスの設計を考えないとシステムに負荷がかかり過ぎる場合がある。
例えば日本の銀行統合が米国の銀行統合などに較べて大変なのは、通帳があったり(米国では通帳がなくステートメント方式)、高度なATMが存在するからだ。
そしてそれ程違いがあるとも思われない金融商品が並列的に沢山存在する。それらを全部システムで賄うとすると、システム面の人材・予算はどんどん逼迫する。
つまりみずほ銀行のシステムトラブルの本質は、商品やサービスの整理・合理化が遅れていたことの帰結というのが私の推論である。別の言い方をするとロジスティクス軽視のツケともいえる。
みずほのシステムトラブルの直接的な原因は震災義捐金振込みが集中したと言われている。ある意味ではみずほも震災の被害者ではあるのだが、東電と同じくロジスティクスを軽視したオペレーションのツケが回ったともいえる。
西堀氏の不本意に辞任からみずほGの人達は何を学ぶことができるだろうか?