金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米株、大幅反発だが視界は不良

2013年06月14日 | 投資

昨日(6月13日)の米国株は、日本株の大幅下落にもかかわらず、好調な経済データを好感して、ダウは180ポイント(1.21%)、S&P500は23.84ポイント(1.48%)と大幅上昇した。テクニカルにはピークから20%以上下落した日本株はベアマーケット入りした(WSJオンライン)が、一見米国株は疾風の中で勁草となった形だ。

昨日発表された5月の小売売上高は予想を上回る前月比0.6%のプラス。また直前週の失業保険申請数は334千件でその前の週の346千件を下回るとともに市場予想を下回ったことが好感された。

だが昨日の取引高は、相場が活気を帯びていた時期に較べると少なく、機関投資家は現金ポジションを積み上げているとWSJは報じていた。市場関係者は来週のFOMCミーティングで、市場の方向感がもう少し明らかになるを待っているのだ。

話は個人的なことになるが、2,3日前から野村證券が口座を開いているワイフのところに盛んにソニーが発行する社債のセールスの電話をかけてきていた。ワイフが「国債より利回が良いというけれど、どうすればいい?」と聞くので「止めといた方がいい」と返事した。国債より金利が多少高くても、今のソニーの状況を考えるとリスクリターンは見合っていないようだし、先行きの金利高を考えると投資タイミングではない。また証券会社が熱心にセールスする理由は「売れていない」からであ る、と説明。

昨日のシカゴ先物市場で日経平均は470ポイント高だったので、今日(6月14日)の東京市株式市場が大幅高でスタートすることは間違いない。下げ局面の一時的な反発と考えて、売りタイミングととらえるか、底が近いので買い時と考えるか・・・・・

冒頭で「疾風の中の勁草」と述べた米国株だが、この先も勁草であり続けるかどうかは分からない。まあ、もう少しふらつく時がある、と考えるべきだろう。長期的に見て投資して間違いのないのは米国株だが、私は少し前にETF(SPDR S&P500)を一旦売却した。米国株とドル(対円)は今年に入って極めて相関関係が高く、米株高とドル高(あるいは米株安とドル安)が同時進行したので、リスクリターンが2倍になっていたからだ。同じようなことを考えてステップアウトした人が、買いのタイミングを待っているとすれば、米国株が底堅いのだが・・・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世銀、成長見通しを下方修正

2013年06月13日 | 社会・経済

昨日(6月12日)世銀は毎年2回行なっている経済成長予測で、世界のGDP成長率を昨年より0.1%低い2.2%とした(世銀が今年1月に行った予想は2.4%)。また世銀は今年をボトムとして経済成長率は来年3%、2015年3.3%と予想した。世銀のレポートの主筆Burns氏は「我々の見解では、成長は需要不足で鈍化するのではなく、リーマン・ショック前の高い成長率はバブル現象だった。これはポスト危機のニューノーマルに移行に伴う現象である。」と述べた。

また同氏は「ユーロ圏と米国の財政状況が将来の世界経済に対するリスク度合いは減少していくだろう。一方発展途上国は米国や日本など先進国の通過拡張政策の副次効果に注意を払う必要がある」と述べた。

昨日の米国株は、連銀の金融緩和政策の転換期が近いのではないか?という懸念から売り込まれた。また日本では日銀がこれ以上の金融緩和は行わないと判断され、株安・円高が起きている。

安倍政権発足から5月半ばまでに5割上昇して、その後2割近く下落した日本株。異常な上昇と下落を繰り返しながら、こちらもニューノーマルに移行するのだろうか?

あるいはアベノミクスも所詮は前任者達の成長戦略の焼き直しに過ぎなかった、と大きな失望売りと逆資産効果を産んででお終い、ということになるのだろうか?結論を下すのは少し早い。

ただ金融緩和期待というバブルの部分があっという間にはげ落ちたことは確かだ。

そしてはっきりしていることは、近い将来の世界の経済成長率が2-3%であれば、いかなる運用を行おうとも、それを大きく上回るリターンを得ることはできない、ということだ。それを上回るリターンを挙げることができた場合は僥倖の賜物で、リスクを取り過ぎていたことになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅ジャムができました

2013年06月13日 | 男の料理

先日岡崎のSさんから頂いた梅でジャムを作りました。約1kgの梅の種を取り、細かく刻んで、裏漉して、砂糖750gと30分ほど煮て出来上がり。

梅の酸味が食欲を刺激します。甘いものの取り過ぎには用心しなければ・・・・・と思いつつ厚塗りしてしまうジャムです。

Plumjam

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

電話モニターはOK、だが電子メールチェックでは反対派が若干多い。

2013年06月12日 | デジタル・インターネット

日本でも少しづつマスコミの話題になってきた米国のNSA(国家安全保障局)の通話記録収集問題だが、取り上げ方によってはバイアスのかかりやすい問題である。インターネットを見ていると、マスコミには「米国秘密裁判所が情報提出命令を出した」という記載が見られるが、これは誤訳ではないか?と私は感じている。対応する原文はThe Nsa has been getting secret court orders to track telehpone calls of millions of Americans・・・・”

で「国家安全保障局は(テロリズムを査察するため)数百万人のアメリカ人の電話を追跡調査するべしという裁判所の秘密命令を得ている」ということなのだが、secret court ordersを「秘密裁判所の命令」と訳すか「内密の裁判所の命令」と訳すかで、読み手の印象は随分違ってくると思われる。

私は後者の立場で「内密の裁判所の命令」と訳したが、検討過程で参考になったのは赤旗のネット版で「盗聴を行うには対外情報監視裁判所という特別な裁判所の許可が必要」という解説である。対外情報監視裁判所を秘密裁判所とすると前者の訳も成り立つが、個人的には少し筋が悪いと考えている。「秘密裁判所」という言葉に私は胡散臭さを感じている。

一方過半数のアメリカ人がNSAによる一般市民の情報の監視を受け入れている、というような報道もミスリードしやすい。

確かにピューリサーチが約千人のアメリカ人に調査をしたところでは、「62%のアメリカ人はたとえプライバシーの侵害があるにせよ、政府がテロの兆候を査察することの方が重要」と述べ、「プライバシーの侵害の方が重要」と応える34%を圧倒している。

この調査結果は先週辺りからマスコミを賑わせているNSAの内部告発事件とはあまり関係がない。ピューリサーチがAMCニュースと共同で2006年1月に調査を行なって以来ほとんど変化がなかった。

ただ「通話記録の追跡」と「電子メールのモニターリング」では、国民の支持率が違っている。通話記録の追跡については、56%の国民が支持し、反対者は41%だ。一方電子メールのモニターリングについては、支持者は45%にとどまり、52%は反対する。

何故通話はテロ防止のために治安当局から追跡されてもOKで、電子メールは同様の目的でも否定されるのか?

ピューリサーチの調査によると、若年層はテロ防止よりプライバシーの侵害を懸念する。50歳以上~64歳の人の67%がテロ防止を優先するが、18歳~29歳ではテロ防止優先は51%にとどまり、プライバシー優先が45%と迫ってくる。若者のプライバシーは電話よりメールに依存するから、メールはよりのぞかれたくない!というのが若者の主張だろうか?

他国の世論調査結果を正しく読むには難しい、と感じた次第である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スティグリッツさん、それは少し褒めすぎですよ

2013年06月11日 | 社会・経済

ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授がニューヨーク・タイムズにJapan is a Model,Not a Cautionary tale(日本はモデルで、失敗に関する訓話的な話ではない)という寄稿をしていた。簡単にいうと、「リーマンショックの後、米国は米国がバブル崩壊後の日本型の経済停滞に陥らないよう政府の動きを強めた。そういう意味では、日本の失われた20年は訓話的なのだが、よく見ると日本の低成長はそれほど悪いものではなかった。2000年から2011年にかけての日本の年平均経済成長率は、米国(1.8%)の半分以下の0.78%だった。だがその間に日本の労働人口(15歳~64歳)が5.5%減少しているので、一人当たりの産出量の伸びではアメリカを上回っている。また所得格差の拡大抑制の点でも日本はアメリカよりうまくいっている。平均寿命の点でもしかり。世界第二位の大学卒業率もしかり。最悪時点でも5.8%を超えなかった失業率の点でもしかり・・・・」と結構褒めている。そして最後に「仮にアベノミクスがその支持者が望む半分程度の成功にとどまったとしても、アメリカに教えてくれることは大きい」と結んでいる。

アメリカ人の一つの美点は、他人の長所を素直に認めそこから学ぼうとすることである。たとえばトヨタのカンバン方式を真剣に勉強したように。

ということでスティグリッツ教授もアメリカとの比較で日本の良いところを誉めているのかもしれない。しかし一面から見ると良いことも他の切り口から見ると悪い面を持っていることがある。規制の多い労働法や雇用環境により確かに日本の失業率は米国に較べると低く抑えられている。だがそれが大胆な産業再編の足かせになっているマイナス面もある。

無論その程度のことをスティグリッツ教授が知らぬはずがない。では何故この時期にアベノミクスを進めようとする日本にエールを送ったのか?目先の株価のブレに一喜一憂することなく、アベノミクスを推進せよ、という励ましの言葉なのだろうか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする