金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

座り心地が良かった米国の雇用統計

2013年06月08日 | 投資

昨日(6月7日)発表された米国の雇用統計。失業率は前月比0.1%上昇して7.6%、非農業部門雇用者増は、昨年平均並みの175千人だった。非農業部門雇用者増は、市場予想の平均より若干多かったが予想の範囲内とみて良いだろう。雇用統計の結果を受けてダウは207ポイント(1.38%)上昇した。株式市場参加者は「雇用は堅調だが、連銀がQE3をすぐ止めるほどには強くない。金融緩和はしばらく継続される」と判断して安心の買いが入った。一方債券市場や為替市場は、非農業部門雇用者数は堅調なので、金融当局は緩和策縮小に動くという見方が強かった。

ほぼ予想通りとはいえ、毎月175千人の雇用増というペースでは、リセッション前の失業率に戻るには5年はかかるという計算だ。だから連銀が緩和を続ける、と考えることが妥当なような気もするし、仮に来月以降強い雇用統計が出ると、意外に早いペースで緩和策を縮小する可能性があるとも思われる。

話は変わるが、今年は風の強い日が多いと感じる。季節の変わり目で温かい空気と冷たい空気の入れ替わりが起きる時、強い風が吹くことが多いという。金融市場も同じようなもので、米連銀の超金融緩和という異常に温かい気団から、本来の業績相場に変わる過程で、強い風が吹き、相場がvolatileになっているのだ。

山を登っていて思うことは、いくら装備が良くなっても「悪天候には勝てない」ということだ。嵐が来る前に降りるこしたことはない。もし堅調な米国株の潮目を引き継いで、来週日本株の戻り局面があれば、ギヤチェンジをするチャンスだろう。

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ゴーヤ花咲き、ナスの実結ぶ

2013年06月08日 | うんちく・小ネタ

6月8日土曜日曇りところどころ青空が顔を見せる。ゴーヤに花が咲きはじめた。

Goya

雌花である。蝶々や蜂の姿を見かけないのが気になる。人工授粉の必要があるのだろうか?

ゴーヤの隣ではナスが見をつけ始めた。こちらはちゃんと受粉したようだ。

Eggplant

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あじさいとクッキングそして温泉、秦野の弘法山

2013年06月07日 | 

6月6日(木曜日)曇り。歯科医師さん達合計7人で小田急沿線秦野の裏山を散歩した。木曜日は歯医者さんが休みなので好都合とのこと。午前10時に秦野駅で待ち合わせ、構内の食品スーパーで即席麺、もやし、ネギなどを購入。弘法山の頂上でクッキングをしよう、という魂胆だ。

10時13分スタート。駅前の水無川の河原に降りると良い歩道が続いている。しばらく歩くと南側にイトーヨーカ堂が見えるがそれを通り越して進むとこれから登る権現山が近づいてくる。堤防の上にでて、大きな道を左折してしばらく歩くと、弘法山公園入り口の標識が出ている。10時35分である。ここから10分ほどだが、つづら折れの急な斜面を登った。やがて傾斜が緩み、車が通行可能な広い道に出会った。その道を横断して再び少し傾斜のきつい斜面を登ると権現山(243.5m)の頂上の展望台の下にでた。

Gonngennyama

一休みしていると猫が悠揚迫らざる様子で近づいてきた。汗のにおいに惹かれたのだろうか?

Dsc00766

権現山の上にはあじさいが咲いていた。権現山から弘法山に続く道には桜の木が多い。花の季節は美しいだろう。

Ajisai_2

可愛らしい彫刻もあった。

Moriniikiru

11時35分弘法山(237m)頂上到着。さっそく枯れ枝を集めて、携帯焚き火グリルで火を起こして、ラーメンを作り始めた。

Fire

携帯焚き火グリルは、少し重たいが中々のスグレモノである。(下の写真は自宅でとったもの)

Konro

還暦を過ぎたオジサン・オバサンが夢中になって火をおこし、ネギを刻んだりしてクッキングを楽しんだ。幾つになっても火遊びは楽しい。ワイン、サンドイッチも美味しく頂いた。この日のランチ時間は1時間半近くになった。12時58分、鶴巻温泉駅に近い「弘法の湯」を目指して出発。小さな起伏を幾つか越えて、吾妻山(166m)に13時48分に到着。

Agatuma

畑の横を下っていくと東名高速にぶつかり、その下をくぐると弘法の湯は近い。14時20分弘法の湯到着。汗を流して、ビールを一杯飲んで15時半頃の小田急に乗った。今回は山の上での焚き火がすこぶる好評だった。焚き火は童心を呼び起こす。だが場所を選ぶとともに、環境を傷めないように気をつけたいものである。

Map

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アベノミクス、達成可否は過当競争の克服にかかる

2013年06月05日 | ニュース

今日(6月5日)アベノミクスの第三の矢である成長戦略について3回目の講演を行う予定の安倍首相。規制改革の具体策が大きなテーマになるようだ。

昨日テレビを見ていたら経団連のメンバーに対するアベノミクスに対する評価を「晴・曇・雨」マークでレポーターが聞いていた。安倍内閣の高い支持率を見て、自民党にすり寄りはじめた経団連のメンバーだから、当然にほとんどの人が「晴」マークを出していた。だが企業のトップ達は本当にアベノミクスを推進しよう、と考えているのだろうか?

たしかに円安・株高・景気回復・物価の2%上昇は企業にとって悪い話ではない。ただし非常に重要でかつ達成が難しいハードルがある。それは「自社の物価上昇分だけ値上げできるか?」という問題である。

先週からの日本株の大幅下落を「急速な値上がりに対する一時的な調整」と見るか「安倍相場の終わりの始まり」と見るかは、意見の別れるところだろうが、私は外国人投資家の間で「アベノミクスの金融相場は既に終わった。しかしデフレ脱却は非常に難しいのではないか?」という見方が広がりつつあることの影響が出ている、と判断している。

なぜデフレ脱却が難しいか?というと「コモディティを販売している企業間の価格競争が激しくてコストアップを商品に転嫁できない」からである。たとえばガソリン価格だ。スタンド間の過当競争が激しいので中々小売価格を引き上げることができない。一つのスタンドが値上げをすると他のスタンドに顧客を奪われてしまう。

ニューヨーク・タイムズは、自販機業界の状況を取り上げて、販売価格の引き上げが難しい状況を説明していた。

記事によると1960年代にコカ・コーラが初めて自販機販売を始めた時の値段が1本約50円、インフレ時代は3年毎に10円値段が上がり、1983年には100円に達した。しかしその後は足踏みが続き、1998年には120円になり、それが今日まで続いている。いや、現在では一缶80円で販売する業者もいるように、120円以下で販売する業者が3割に達している。

これは自販機がどこにでもあるからだ。時々人里離れた山の中でも自販機に出くわすことがある。さすがに何時投入された飲料なのか不安なので利用することは殆どないが。業界資料によると自販機の台数は人口33人に1台の計算になるとか。自販機はリースで取得されることが多いが、リース会社が安いリース料でリースを組むことも過当競争の要因の一つだ。

「赤字が拡大するなら販売を減らす」というのが、常識的な企業行動のはずだが、日本の会社は必ずしもそのような行動はとらない。例えばこの前まで続いていた円高下では、あきらかに輸出すると赤字になる場合でも輸出を続けた企業があった。だから日本に輸出額は円高になっても急速には減らない。一方円安になっても急速には増えない(円高時より営業利益は増えるが)。

ではどうすれば過当競争を減らすことが出来るか?

まず労働人口の減少により、需要が減っているのだから供給を減らさなければならない。交差点の四つ角に3つもあったガソリンスタンドは1つが減ったように。企業合併、廃業、場合によっては倒産をもやりやすくする方法を促進するべきだ。そしてそこから生まれる労働力を新しい分野に振り向ける、これがないとデフレ脱却は進まない。

そのようなところまで安倍政権が踏み込めるかどうかを本当の投資家は今見始めているはずだ。だが大手マスコミは政権との蜜月関係を重視して踏み込みが浅い。またもし企業トップの中に「景気が良くなれば、私が社長の椅子に座っている間は合併はないな」というような人がいてアベノミクスに旗を振っていたとすれば、甚だしい自己撞着であろう。

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伊藤・藻谷トークショー~アベノミクスの見通しから

2013年06月04日 | 投資

昨日WSJジャパン主催のトークショーがアークヒルズのアークカフェであった。スピーカーは伊藤隆敏東京大学大学院教授と藻谷浩介・日本総研主任研究員だった。 藻谷氏は「デフレの正体」の著者。高齢者の増加と労働人口の減少で、デフレは避けられないと主張する。一方伊藤教授はアベノミクスの強力な支持者だ。

トークショーの前に司会の小野由美子WSJジャパン編集長が参加者にアベノミクスに対する評価をyes/noで聞いた。「今までのところはどうか」という質問に対してはyesがやや多かったが、「これからの見通し」についてはno、つまりアベノミクスは期待どおりの成果を挙げられないと答えた人が圧倒的に多かった。昨日は日本株が再び大幅下落。やや円高気味だし、足元のセンチメントが悪かったことも影響しているかもしれないが、大方の参加者が「規制緩和」に?を感じているということだろう。

二人のスピーカーの論点は、ご承知の方も多いと思うので省略するが、「今後何をすべきか?」ということでは、高齢者にお金を使ってもらおう、という点で一致していた。大体この手の話になると、最後はお金を持っている高齢者にお金を使って貰おう、高齢者がお金を使っても安心できるように介護保険を充実させよう、といったところに落ち着く。昨日の話もそのあたりに落ち着いたのだが、果たして介護にかかる費用面の心配が後退すれば高齢者はお金を使い出すのだろうか?という点に私は甚だ疑問を感じている。

一つは藻谷氏も昨日述べていたが「お金を貯めること、減らさないことが目的化した高齢者が多い」という分析だ。つまり自分の将来に幾ら必要だ、という判断ではなく、他の人に比べて貯蓄が多いから安心、という貯蓄が自己目的化した考え方があり、その価値観を変えない限り、高齢者の貯蓄は減らないだろう。

では貯蓄優先の価値観を何に変えるのか?一つは「仕事」であろう。80歳を越えてなお現役の評論家として活躍する樋口恵子さんは「『老後が心配』が働く原動力」(「老後のお金」文春文庫)の中で次のように述べている。

就労は何よりも収入のためであり、調査をみても男女とも高齢者の就労理由の第一位であるが、「健康のため」も高位にある。・・・・長生きした高齢者は預金を減らすのはいやだが、今さら貯蓄に励もうとは思っていない。だからすぐ使ってしまう。・・・政府は高齢者の預金を何とか引き出して使わせようと躍起になっているが、恐らく成功しないだろう。人生100年時代は80歳になっても『老後が心配』だからだ。でもそこそこの収入が入れば、ぱっと使う。高齢者を消費市場に引き込むには、何よりも仕事を与えることだ。

一つの見識だ、と思う。そして高齢者向けの雇用を創造することは不可能ではない。たとえば駅の構内タクシーを見ると、大半の運転手は高齢者だ。つまり年金が給付減額にならない程度の収入で仕事を続けたいと思っている人たちが安価な労働力を供給しているのである。だが大きな問題がある。高齢者の安価な労働力は働き盛りの労働力とバッティングして、賃金上昇の重荷となる可能性が高い。

と考えると収入面からは働く必要がない人にまで、就業機会を提供することは働き盛りの人の労働条件に悪影響を及ぼす可能性がある。そこでもっと検討して良いことは「有償ボランティア」ではないか?と私は考えている。ただしボランティアの対価は、現金ではなく「医療チケット」や「介護チケット」で払う。診療報酬の点数でも良い、だろう。こうすれば高齢者はやり甲斐のある活動を行いながら医療や介護支出に対する不安が緩和されるだろう。

アベノミクスに対する私の考え方は、以前からはっきりしていて、金融緩和によるインフレ効果は過去の金融緩和とインフレの相関関係から見て低い、と判断している。デフレの脱却には「働く人口の拡大」と「高齢者の保有する資産の有効活用」が必要である。うがった見方をすると、消費税の引き上げも高齢者の資産の有効活用の一部だ。だが現在の高齢者は現金資産や不動産などの実物資産だけなく、元気な肉体や知恵という無形の資産も持っている。その膨大な資産を活用できるかどうかに日本経済の将来がかかっている。

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