昨日(10月4日)NYダウは終値で最高値を更新した。ザラ場では数日前から最高値を付けていたが、終値では昨日6年ぶりの高値を着けた。因みに10月4日は日本では証券投資の日らしい。10と4でトウシ、駄洒落の世界であるが、覚えておくには良いかもしれない。
さて6年ぶりの高値更新だが市場に高揚感はない様だ。ウオール・ストリート・ジャーナル紙がその辺りの状況を詳しく説明しているので、少し記録しておこう。これは何よりも自分の投資のための勉強になる話だ。
- 2000年1月14日にダウは11722.98ポイントという高値を付けたが、2002年には37.85%下落して漸く今高値を更新したが、インフレ調整を行なうとダウは2000年の高値より2割方低い。2000年からの下げ相場は金融市場最悪のベア相場だった。この間によりティリティの高いナスダックは78%も下落した。
- ナスダックについてはボトムの2002年から2倍の伸びを示しているが、2000年3月につけたピークの5048.62ポイントに戻るには更に倍増する必要がある。S&P500については2000年3月のピーク時に較べるとまだ14.5%低い。つまりダウ30銘柄は漸くハイテクバブル崩壊前まで戻したが、株式市場全体ではまだまだヤラレを取り戻していない。
- 今回ダウを最高値に押し上げた触媒は連銀である。6月以降投資家は8月に連銀は2年間続いた金利引き上げキャンペーンを終了させると信じ始めた。そして実際連銀は8月に利上げを見送った。
- 連銀の金利政策はGoldilocks Economy~暑過ぎもせず寒過ぎもせずという経済状態~を作るだろうという希望が広がった。つまり金利はインフレを鈍化させるには十分高いが企業収益を挫折させる程には高くないという状態である。多くの投資家はこの様なバランスの取れたシナリオは堅実な株式市場の公式と思っている。この楽観主義は歴史的にはもっとも株式相場が弱い9月においても好調な相場が持続したので一層強くなった。
余談になるが、Goldilocks economyであるが、グリム童話のゴルディロックスと三匹の小熊という話から来ている。ゴルディロックスという金髪の娘(ゴルディロックは金髪の意味)が、熊の親子が散歩に出ている間に熊の家に入り、暑過ぎもせず冷た過ぎもしないスープを飲んでしまうという話だ。この話を引用して誰かが適温の経済状態をGoldilocks Economyと言い出した。グリム童話に親しんでいる欧米人なら直ぐわかる話なのだろうが、私は思いつかず色々調べて漸く分かった次第である。
さて米国株の話に戻る。
- 現在広がっている話は連銀は短期金利の引下げを来年のどこかで開始するのではないかということだ。このため長期金利の低下が起こり、住宅ローンの金利が低下している。またより緩やかな経済成長の見通しはガソリン価格の低下を呼び、消費者はより楽観的になっている。
- その結果最近の株式ラリーを牽引しているのは、マクドナルド、マイクロソフト、GM、ファイザーといった消費者関連銘柄である。昨年の相場を牽引したキャタピラーやアルコアといった資本財メーカーは後退している。
- 典型的には強気相場の終わりの段階で、大型でより安全性の高い株のパフォーマンスが小型株・新興企業株のパフォーマンスを上回る。これは今年起こった現象だが。
現在の米国株市場はダウ30こそ過去最高値を更新したが、市場全体ではまだ2000年のピーク時レベルに戻していない。これは「2000年当時S&P500はPER30倍というレベルでトレードされていたが、現在は17倍程度である。」という事実が示す様に投資家が一つ賢くなって慎重な姿勢を保っているからだ。
なお米国株式が金利との連動性を高めると日本株と米国株の連動性が高まるというエコノミストもいる。これからは一層米国株の動きに注意が必要だ。ゴルディロックス経済が続くと信ずる程楽観的ではないが、原油価格等が落ち着いている限り米国の景気減速に過度に弱気にならなくても良いかもしれないという気はしている。