世界経済のスローダウンから原油価格は1バレル60ドル前後に下がっている。国際エネルギー機構(IEA)のホームページhttp://omrpublic.iea.org/によると9月の原油生産は110万バレル減少して、一日当たり8,560万バレルになった。こうなると今年の夏のオイル・ショックが遠い日の出来事に見えるから人間とは不思議なものだ。
しかし来月18日にIEAが発表する予定の「世界エネルギーアウトルック」は、再び原油不足の問題をクローズアップさせそうだ。ファイナンシャル・タイムズはこのアウトルックの原稿を入手し、その概要を記事にしている。それによると「原油産出量は生産性を高める特別な投資がない限り、年率9.1%の割合で減少するだろう」「また投資があったとしても、年率6.1%の割合で減少するだろう」ということだ。
向こう数年間は世界的な景気後退で石油需要がスローダウンするので、原油産出量の減産は余り意識されないだろう。また原油価格と需要の低迷は産油国の投資意欲を減退させる。しかし世界経済が成長軌道に戻りだすとたちまち原油不足が問題になる・・・ということだ。
ファイナンシャル・タイムズによると、IEAは2030年の石油消費量を昨年の予測116.3百万バレル(1日)から、106.4百万バレル(1日)へ下方修正するレポートを出す予定だ。
原油産出のために追加投資を行っても産出量が増えないということは、原油産出量がピークアウトしたということだ。ハバートが唱えたオイル・ピーク説が正しいとすると~米国の石油生産に関しては1971年にピークをつけてから減少の一途をたどっているので正しいことが証明された~、原油の産出量カーブはピークをはさんで対象的になる。つまり釣鐘型の右斜面を下るように減少していく。
世界経済が景気後退に入る今こそ本格的な省エネルギー投資と代替エネルギー投資に主要国が協力して取り組むべきだろう。さもないと数年後に再び同じような大混乱をもたらすことになる。
なおこれは個人的な直感だがひょっとすると、数年後のエネルギー価格高騰から発展途上国の発展に大きなブレーキがかかり、発展途上国は永遠に発展途上国で終わるかもしれない。発展途上国への過大な期待は危険かもしれない。
10年後位にはジェット燃料ももっと高騰しているだろう。キリギリスのようだが、円高の今日本人は海外旅行を楽しんだ方が良いかもしれない。今のところジェット燃料を代替するエネルギー源はないので、2,3世代後には海外旅行は特権階級のものになっているかもしれない・・・・・。