金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

忘れる前にきそうなオイルショック

2008年10月29日 | 社会・経済

世界経済のスローダウンから原油価格は1バレル60ドル前後に下がっている。国際エネルギー機構(IEA)のホームページhttp://omrpublic.iea.org/によると9月の原油生産は110万バレル減少して、一日当たり8,560万バレルになった。こうなると今年の夏のオイル・ショックが遠い日の出来事に見えるから人間とは不思議なものだ。

しかし来月18日にIEAが発表する予定の「世界エネルギーアウトルック」は、再び原油不足の問題をクローズアップさせそうだ。ファイナンシャル・タイムズはこのアウトルックの原稿を入手し、その概要を記事にしている。それによると「原油産出量は生産性を高める特別な投資がない限り、年率9.1%の割合で減少するだろう」「また投資があったとしても、年率6.1%の割合で減少するだろう」ということだ。

向こう数年間は世界的な景気後退で石油需要がスローダウンするので、原油産出量の減産は余り意識されないだろう。また原油価格と需要の低迷は産油国の投資意欲を減退させる。しかし世界経済が成長軌道に戻りだすとたちまち原油不足が問題になる・・・ということだ。

ファイナンシャル・タイムズによると、IEAは2030年の石油消費量を昨年の予測116.3百万バレル(1日)から、106.4百万バレル(1日)へ下方修正するレポートを出す予定だ。

原油産出のために追加投資を行っても産出量が増えないということは、原油産出量がピークアウトしたということだ。ハバートが唱えたオイル・ピーク説が正しいとすると~米国の石油生産に関しては1971年にピークをつけてから減少の一途をたどっているので正しいことが証明された~、原油の産出量カーブはピークをはさんで対象的になる。つまり釣鐘型の右斜面を下るように減少していく。

世界経済が景気後退に入る今こそ本格的な省エネルギー投資と代替エネルギー投資に主要国が協力して取り組むべきだろう。さもないと数年後に再び同じような大混乱をもたらすことになる。

なおこれは個人的な直感だがひょっとすると、数年後のエネルギー価格高騰から発展途上国の発展に大きなブレーキがかかり、発展途上国は永遠に発展途上国で終わるかもしれない。発展途上国への過大な期待は危険かもしれない。

10年後位にはジェット燃料ももっと高騰しているだろう。キリギリスのようだが、円高の今日本人は海外旅行を楽しんだ方が良いかもしれない。今のところジェット燃料を代替するエネルギー源はないので、2,3世代後には海外旅行は特権階級のものになっているかもしれない・・・・・。

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不思議な株高

2008年10月29日 | 金融

昨日(10月29日)ニューヨーク市場でダウは10.8%、889ドル上昇した。最近はダウの2,300ドルの上がり下がりでは大したニュースにはならないが、さすが10%も上昇するとトップニュースになっている。VIXも13ポイント下落して66.96になった。もっともこれ自体とてつもなく高い数字なのだが。

株高は連銀の政策金利引き下げ観測と株価を割安とみた買いが入ったためだ。不思議なことはこの日発表された消費者信頼指数がアナリスト達の予想を大きく下回って38と低かったにも関わらず株価が大幅上昇したことだ。

この点についてアナリスト達も明快な説明はできないようだ。従って多くのアナリストは株式相場が底を打ったという見方はしていない。10%上昇しても10月全体ではまだ2割以上の株価下落だ。

だが株式市場が常に先を読んでいるとしたら、既に米国の消費者主導型のリセッションをかなり織り込んだと言えないこともない。問題はどの程度織り込んでいるかだが・・・・・

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