金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

銀行間の与信供与が緩みだした背景

2008年10月21日 | 金融

銀行間の与信供与が少し緩みだしたことを好感して今週は株価が2日続けて上昇している。クレジット市場が緩み始めた理由の一つとして私は米国政府が、米銀の再編を指向していることが市場に伝わり始めたことがあるのではないかと考えている。

ニューヨーク・タイムズは匿名で財務省のある高官が「財務省は資本注入で弱い銀行を救済するつもりはない。我々の目的は金融市場を安定させるとともに、業界再編を進めることである」と語ったことを報じている。

財務省高官によるとスーパーリージョナルと呼ばれる二番手クラスの銀行~KeyCorpやFifth Third Bancorpなど~は、競争相手を買収できる立場にいながら、買収に乗り気でなかったり買収を完結する資本力に欠けている。そこで財務省は有利な条件で資本注入することで、銀行の合併を促進しようと考えている訳だ。

競争相手を買収する活動は戦略的であり、預金や融資の商品レベルで競争することは戦術的ないし戦闘的である。商品レベルで価格競争を繰り返すことは、業界の疲弊につながる。これに対して競争相手を減らす企業買収は適正な価格を維持する上で有効な手段だ。

今米国の財務省が金融業界に合併を求めていることは、様々なリスクに耐えうる大きな金融機関を作る上で有効な手段だ。

アメリカという国の最大の強みは「戦略的思考」ができる点である。そして第1ラウンドで負けてから粘っこいところである。もし米国の財務省がもくろむように、税金を有効に使いながら弱者を淘汰しながら金融界の再編を図ることができるならば「災いもって福となす」というには程遠くても、将来の金融安定には大いにプラスになるだろう。

そしてもし日本の金融当局がの動きを正確に理解して同じようなことを日本でも進めると日本の金融も良くなる・・と私は考えているが、こちらの動きは今のところ見えてこない。少なくとも私には。

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Libor下がって株上がる

2008年10月21日 | 金融

昨日(10月21日)日経平均が3.6%上昇した後、海外市場でも株高が続いた。株高を促進したのは銀行間の貸出金利であるドルLiborが急速に低下したことだ。

ファイナンシャル・タイムズはInvestors took heart from fresh signs of a thaw in the interbank lending market.と報じている。take heartとは良い言葉で「より希望を感じる」「より自信を持つ」という意味だ。全体としては「投資家達は銀行間の貸出市場が緩和する幾つかの兆しから希望を感じた」という意味だ。

ファイナンシャル・タイムズによると3ヶ月Liborは36bp低下して4.06%になった。これは今年1月以降最大の下落だ。オーバーナイトのドルLiborは16bp下がって1.51%になった。これはほぼ連銀の政策金利1.5%の水準だ。中央銀行が大量の資金を供給してきたことや銀行に資本注入した効果が出てきたといえる。

銀行間の資金融通が活発化していると、銀行から企業・個人へ融資ハードルも下がってくるのでこれは明るい兆しだ。

個人的にも先々週の下げ相場の中で仕込んだ日本株に利益が乗って来たのでtake heartである。私は過去のパターン等から見てあるレベルまでの株価回復は早いと見ている。といっても日経平均で10500円から11000円程度と見ているが。その辺りになると景気悪化等悪材料が問題になるだろう。

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