金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

Suicaで木っ端拾って

2008年10月17日 | うんちく・小ネタ

「木っ端拾いの材木流し」という諺がある。小さな倹約をしても大きなところで無駄遣いしていることを指す言葉だ。昔景気が悪くなるとゼロックスから乾式複写機に換えて経費を削減しようとしている会社があった。乾式は手間がかかるので担当の女性の評判が悪いが、上司はこれをもって経費削減だなどと自慢していたものだ。しかしそんなことで削減できる経費はたかが知れている。むしろ資料そのものを見直しコピーそのものをやめるとか、業務そのものを見直す方が良い場合がある。

個人の生活でもそのようなことは多い。1円2円安いガソリンを求めて走り回るより、車に依存した生活を見直す方が効果的である。今日はSuicaを使って小銭を稼ぐ方法を書くのだけれど、これなども木っ端の話である。材木は無駄なお金を使わないことだ。ただ世の中には必要経費として使わざるを得ないものもある。この場合は少しでも得な支払方法を考えるべきだろう。

前置きが長くなったが、JR東日本の運賃や定期代を支払うにはSuicaを使うに限る。なぜなら有利なポイントがたまるからだ。私の会社では5月と11月に定期代を現金払い(銀行振り込み)して、社員が通勤定期を買うことになっている。この場合ViewSuica付きクレジットカードを使って定期を購入するとどれだけポイントがつくか計算してみよう。

通勤定期代を67,000円とすると、購入した時点で402ポイントがつく。SuicaクレジットでJR東日本のサービス・商品を購入すると1000円で6ポイントがつく。このポイントは400ポイントで1000円の電子マネーに交換できる。つまり67,000円の定期を買うと1000円貰える計算だ。これをパーセンテージに直すと・・・・・1.5%だ。

1000÷(1000×400÷6)=1.5%となる。つまりSuicaを使って定期券や切符を買うだけで1.5%の割引を受けることができるのだ。このポイントはSuicaのオートチャージにも適用されるので、小口の買い物でもSuica決済が可能ならSuicaを使うべきだ。

昨年の例では私は定期代や出張旅費、家族旅行、Suicaでの買い物などを合わせて30万円位JR東日本でSuicaを使った。これで4500円の電子マネーを得たことになる。なおJR東日本以外でSuicaクレジットを使うと1000円について2ポイントがつく。

以上やたらとSuicaの利点を書いたがこれは記事広告ではない。既にご利用の方も多いと思うが、自分で得をしたと感じたから敢えてお知らせした次第である。木っ端の話ではあるが。

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VIXまたの名は恐怖指数

2008年10月17日 | 金融

昨日投資信託でお付き合いのある三井住友銀行から「ファイナンシャルレター」という個人顧客向けのマーケット動向レポートが届いた。投信の基準価格が激しく下落しているので、顧客説明をしておこうということだろう。その中にVIX指数に関する簡単な説明があった。VIX指数とはシカゴ・オプション取引所で取引されているS&P指数オプションのボラティリティ(株価変動の不確実性の度合い)を示したもので、投資家が先行きに悲観的になるほど数値があがる傾向がある。それで「恐怖指数」(英語ではFear gaugeだから「恐怖の物指」)と呼ばれる。レポートには指数について具体的な説明がなかったので、巷間有名になってきたこの恐怖指数について少し説明を行うことにした。

VIXはVolatility Indexの短縮形だ。通常時VIXは15から20程度の値である。これはどういうことを意味するかというと、向こう1年間でS&P500指数が年率15%-20%の変動をすると市場が予想することを示している。ボラティリティ(正確にはインプライド・ボラティリティ~市場が予測するボラティリティ)は、向こう30日の予想値をベースにしている。

VIXが15ということはどういうことか?というと1ヶ月のS&P500の変動幅の平均は4.33%と予測されるということだ。1ヶ月のボラティリティと1年のボラティリティの間には次の関係がある。

1ヶ月のボラティリティ=15(年率のボラティリティ)÷√12=4.33

どうして年単位のボラティリティを月単位に換算する時平方根を使うかというと「ランダム・ウォークの分散が時間に比例している」からである。株価指数が1ヶ月後に2%上昇するか2%下落するか五分五分の動きをすると仮定した例で考えて見よう。

1ヶ月後の株価は100×1.02=102か100×0.98=98になる。次の1ヶ月は102×1.02=104.04、102×0.98=99.96、98×1.02=99.96、98×0.98=96.04という値になる。株価の予想値はこのようにボラティリティの自乗的動きを繰り返すのでボラティリティの年・月換算には平方根を使うのである。

少し話が細かくなったが、本筋に戻ると1ヶ月のボラティリティが4.33%ということは「スタート時のS&P指数を1000とすると、指数は1050になったり970になったり変動するが、その変動幅の平均は43.3である」ということを意味する。これは標準偏差であるから、株価の動きが正規分布すると仮定すれば約68%の確率で指数は上下各々21.7(43.3の半分)の範囲に納まるということを意味している。

ところで現在このVIX指数は67.61に上昇している(10月16日終値)。これはどういうことかいうと、1ヶ月のボラティリティが19.5%ということを意味する。

S&P指数を1000とすると、平均変動幅が195という意味だ。つまり68%の確率で株価指数は上下約100の範囲でぶれるということを意味する。上記の例で計算したとおり、通常時が22程度だから非常に大きな値だ。また95%の確率で指数の変動幅を予想すると、標準偏差の2倍つまり指数は上下各々200位ぶれることを示している。

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アメリカの住宅価格はどこまで下がる?

2008年10月17日 | 金融

各国政府が金融機関への資本注入を決めても、中央銀行が政策金利を引き下げても、株安は中々止まらない。何故止まらないかというかと世界的なリセッション入りのリスクが高まる中で対策が見えにくいからである。世界的な景気後退を避けるには、アメリカのGDPの3分の2を締める個人消費を安定させないといけない。個人消費が安定するには、住宅価格の下落が止まらないといけない。住宅価格を決める大きな要素は個人の収入だが、賃下げ圧力と失業率の上昇で個人所得は減っている。住宅価格は下がるところまで下がらざるをえないのかもしれない。

アメリカの住宅価格が今なお高い水準にあることの一つの尺度は、住宅価格・家賃レシオだ。ニューヨーク・タイムズによると過去20年間の平均的な価格・家賃レシオは15倍だった。つまり年間賃料を15倍したものが住宅価格という関係だ。住宅価格は下がったがまだフロリダのマイアミではこのレシオは22倍だ。この理論によると今50万ドルの住宅は34万ドルまで下落する。つまり15÷22=68.2%だから更に32%下落するという計算だ。

一方今回の住宅価格の下落の特徴は、フォークロージャー(競売)が景気の悪化に先行しているというのも特徴だ。従来は景気の悪化→住宅ローンの遅延→競売の増加という流れだが、今回は景気の本格的悪化の前にサブプライムローンで破綻した物件の競売が先行し、これが住宅価格の下落を加速しているという見方がある。このため住宅価格の下落速度が速いので価格の底に到達する時間も短いという見方も成り立つ。だからといって住宅市場の回復が早いということにはつながらないだろうが。

私は米国の住宅市場が本格的に回復するには、所得格差是正が行われ中低所得者層の可処分所得が安定・拡大する必要があるという持論を持っている。このためには高額所得者への課税強化や正規雇用者拡大策が取られる必要があると考えている(このような意見は自由主義経済に反すると見えてほとんど目にすることはないが)。

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