この前の土曜日ゴルフに行った時、会社の同僚Tさんが最近購入したレクサスIS2500に乗せてもらった。大泉のTさんの家から外環を通って16号の藤ケ谷カントリーまで往復したが、高速で加速してもシフトダウンせずに、ぐんぐん走っていく。Tさんの運転が上手いせいもあるが、スイスイ追い抜いていくので気持ちが良かった。レクサス4000は何回か後部座席に乗ったことがあるが、2500は今回が初めて。助手席に座っていても気持ちが良い車だ。
レクサスがアメリカで登場したのは1989年、約20年前のことだ。ただ翌年私がニューヨークに転勤した時は出始めでそれ程普及していなかったと思う。最上級のレクサスを買うお金はなかったが、3000ccのレクサスなら買おうと思えば買えないことはなかったが、どういう訳かトヨタのクレシーダ(日本ではマークⅡ)の最上級車(3500cc)を買ってしまった。ところがこのクレシーダが余り良くなかった。馬力と足回りがマッチしていないので、強くアクセルを踏むとタイヤが空回りしたり、悪くするとスピンすることすらあった。また高速道路を飛ばすとフワフワと浮き上がるような気がして落ち着かないのだ。その上オートマチックのトランスミッションが壊れて交換に30万円程かかったという悪い思い出がある。
こんな個人的な経験から「トヨタの高級車といっても高速走行性はどうなのかな?」という見当外れ?な評価を私は長いこともっていた。しかしレクサスIS(インテリジェント・スポーツ・セダン)に乗って私の評価が間違っていたことを悟った。あるいは20年の歳月が車全体を進歩させたのかもしれない。
トヨタがレクサスの開発にかけた年数は5年。発売当時は重厚な威厳を重んじるアメリカの高級車の世界でトヨタがやっていけるのか?というネガティブな見方もあったが、レクサスはアメリカで見事に成功した。ウイキペディアによると、2006年のレクサスの販売台数は32万台でメルセデスの25万台弱、キャデラックの23万台弱、BMWの22万台弱を押さえて米国の高級車市場で堂々の一位なのだ。
アメリカの自動車といえば、車が売れなくてメーカーは悲鳴を上げている。特に販売台数の落ち込みが激しいGMは深刻だ。ファイナンシャル・タイムズによると、次期大統領主席補佐官のラーム・エマニュエル氏が土曜日に行ったオバマ政権の基本政策に関するコメントは、ビッグ3への250億ドルの緊急融資に反対するブッシュ大統領にプレッシャーを与えているようだ。
ビッグ3を何とかしないとアメリカの経済と多くの人の雇用が大変なことになるという認識が新政権の中では広がっている。私もビッグ3が資金不足から万歳するようなことが起きれば、大変なことになると考えている。
しかし一時的に政府が運転資金を融資しても、抜本的な対策を立てることは容易ではない。トヨタがレクサスやプリウスを生み出すのに長い時間がかかったように、苦境にあるビッグ3が今売れる車を作ることは容易ではなさそうだ。
ところでワイフに「レクサスはいいなぁ」という話をしたら、「Tさんってお酒は全く飲まないのでしょ。あなただってお酒飲んだり、麻雀したりして遊ぶことを止めたらレクサスを買うことができるわよ」と思わぬ反撃を食らってしまった。トヨタの高級車は私にとって相変わらず鬼門である。