金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

北朝鮮の不穏な動き

2008年11月13日 | 国際・政治

今日(11月13日)の日経新聞朝刊によると、「北朝鮮は12日、韓国との陸路往来を12月1日から遮断すると韓国に通告し、南北関係では軍部主導の強硬姿勢を鮮明にした。」

また別の記事は「北朝鮮は核施設での試料採取を拒否する」と報じている。ファイナンシャル・タイムズによると、中国の人民解放軍は9月から北朝鮮との国境地帯の部隊を増員している。米国政府は「北朝鮮の政情不安または政権交代に伴い、難民が流入することに備えて人民解放軍が増強されている」と報じている。

金正日が9月の建国60周年の軍事パレードを欠席して以来、彼の健康状態が関係諸国の大きな関心事になっている。米国政府は最近金正日がフットボールを観戦した時の写真を分析して「写真は本物だろうが、いすに座って左腕がだらーんとしているので、脳溢血の後遺症で麻痺があり、歩行困難」と判断している。

北朝鮮が陸路往来を遮断すると、開城(ケソン)周辺の観光事業や工業団地の賃金収入で得ていた貴重な現金収入を失うことになる。それでも北朝鮮が強硬路線を取るということは軍部の力が強まり、金正日の統制力が落ちていることを示唆している。中国が国境警備軍を増強し、フェンスを強化しているという事実は彼等がかなり高い可能性で金正日政権の崩壊を予想している証拠だろう。

日本も情報活動と沿岸警備を強化しておく必要があるだろう。ある朝眼を覚ますと、日本海沿岸に北朝鮮難民の船が押し寄せいてびっくりする・・・・ということがないように。

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政治不信で株安加速

2008年11月13日 | 国際・政治

昨日(11月12日)米国でダウが411.30ポイント下落した。金融危機以来荒っぽい相場が続いているので、4百ポイントの下げ自体がもの凄く大きいということはないが、小売業の不振に政治への不信が加わり、大幅な下げとなった。

小売業の悪いニュースは、家電量販店のベスト ウエイが朝方11月から来年2月にかけて売上が5%から15%減少する見込みだと発表したことだ。ベスト ウエイは一株当り利益予想は従来の3.25-3.40ドルから2.30-2.90ドルに下げた。

株価を更に悪化させたのは、ポールソン財務長官が「金融機関からの不良債権買い取りについては『公的資金の最も効果的な使い道ではない』と語り、当面見送り方針を示した」(日経朝刊)ことだ。

この場当たり的な対応に市場は政治への不信感を募らせた。ニューヨーク・タイムズによると、S&Pエクイティ・リサーチの主席ストラティジストのストーバル氏は「ポールソンのアプローチはad hoc(場当たり的)で、安定と慎重に検討された救済計画を強く求める投資家にとってハッピーなものではない」と述べている。

Ad hocとはfor thisという意味のラテン語で「そのためだけの」とか「場当たり的・泥縄的」という意味がある。ストーバル氏は更にPaulson has become a retailer engaged in a bait and switchと批判している。Bait and switchのBaitは「えさ」で、Bait and switchは「おとりの安い商品を客に見せて後で高い商品に誘導するような商売」を指す。つまり財務長官は「見た目の良い救済案を示して後で別の政策に変えた」という批判だ。

政治不信といえば日本では「定額給付金」の概要が決まったと報じられている。所得制限の最終判断を市町村に委ねるような状態で「概要が決まった」と言えるかどうか疑問だが。

この案については民主党が「国民をばかにする制度だ」と批判している。民主党の政策全般が良いか悪いかは別としてこの意見はまっとうだ。「定額給付金」を支給して、数年後に消費税を上げるというのでは釣り針が見え見えで、国民という魚を釣ることは無理だろう。今の与党はBait and switch商法すらできないということだ。いずれにしても内外の政治不信が市場の不安定さを加速しそうだ。

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