金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

オバマが大統領になるもう一つの意味

2008年11月11日 | 国際・政治

昨日(11月10日)次期大統領のオバマはホワイトハウスにブッシュ大統領を訪ねて引き継ぎミーティングを行った。大統領交替時の引継ミーティングは法的なルールではないが、慣行的に行われている。今回は内外に問題山積みなので通常よりも早目のミーティングが行われた。ミーティングは二人だけで行われ何が議論されたかは発表されていない。

何が議論され何が合意されたかは、これから数週間の間に米国の内外で起きることから判断することになる。例えば「ビッグ3に対する救済融資」がブッシュ時代に行われるかどうかなどだ。

オバマ陣営はオバマの大統領就任後ブッシュ政権下の幾つかの基本政策を見直すと発表している。例えば「胚性幹細胞の研究に関する政府援助の見直し」や「ユタ州での石油掘削」などが上げられる。だがもっと根本的なことはブッシュ大統領が宗教的で非科学的であったのに対し、オバマはかなり科学的判断を重視するという点だ。

ニューヨーク・タイムズのコラムニスト・Kristof氏は「オバマが選ばれたことは、皮膚の色の点で米国にとって一里塚になっただけでなく、オープン(密室政治的でなく)で知的活動を実践している人間を選んだ点で素晴らしいことだ」と述べている。

ここで思い出すのは、共和党の副大統領候補のサラ・ペイリンがアフリカが大陸なのか国なのか区別がつかなかったという話題だ。Kristof氏によるとアメリカ人の5人に一人は太陽が地球の回りを回っていると信じているらしい(こういう話を聞くとアメリカ人は教育レベルが低いと騒ぐ日本人が出そうだが・・・)。そのアメリカ人でもさすがに共和党の知的レベルの低さにはうんざりしたのかもしれない。

共和党というとマケインの演説を分析したglobal Language Monitorによると彼の演説は7年生(中学一年生)レベルの英語だったという。因みにオバマは9年生(中学三年生)レベル。中学三年生になると文学の基礎や修辞学の基礎を学ぶと英語のウイキペディアは書いている。

アメリカが抱える不況・金融危機・二つの戦争という内外の問題は、大統領が変わったからといって直ぐに解決するものではない。国も又人間の体と同じで大病をした後は療養しながら体力を回復するしかない。まず病人が「回復の目処」をつけて「病気を治す」気力を持つことが大事だ。

宗教的信条が強すぎて、国を危険な方向に引っ張ったブッシュの後に、知的専門家の意見を重視する大統領を選んだ米国民の判断は健全というべきだろう。日本の政治家やマスコミも肌の色ばかりに注目していると選挙民の本当の判断基準を見誤るだろう。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする