ブラックフライディというと「株価暴落で有名なブラックマンディの親戚かしら?」と思う方もいらっしゃるかもしれない。しかしブラックフライディの方はもう少しポジティブな意味を持っている。ブラックフライディとは米国でサンクスギビング・ディの後の最初の金曜日を指す。サンクスギビング・ディは11月の第4土曜日で今年は11月27日がサンクスギビングディで、28日がブラックフライディだ。
ブラックフライディの意味は、この日が実質的にクリスマス・セールスの始まりの日で、この金土日の三日間の売上で、これまで赤字だった小売業者が「黒字」つまりブラックに転換することができるので、ブラックマンディと呼んでいるのだ。
不況下の今年は例年になく早くから「割引セール」の札が早くから立っていた。早いところでは10月から年末(クリスマス)セールの札が立っていたそうだ。セールの札が余りに早く立つと消費者は更なる値下げを期待して、買い控えを起こすという。
この安売り合戦の中で強い力を示しているのはウオールマートだ。米国の消費者は少しでも安い商品を求めて、ウオールマートやコストコに買い物に行っている。エコノミスト誌によると、4割の消費者はウオールマートに行き、ウオールマートに行った人の9割は総ての買い物をそこで済ませているということだ。
このウオールマートだが、ブラックフライディ当日(この日は早朝から買い物客が列を作るらしい)、ニューヨーク州のあるモールの店で、一人の男性従業員がバーゲンに殺到する人の群れに踏み倒されて死亡したという記事がニューヨーク・タイムズに出ていた。
今回の金融危機で株価暴落が原因で死亡したという人は寡聞にしてまだ聞かないが、株価暴落の副次的産物である景気後退の影響では死者が出たということだろうか?
それにしても不況下で一人勝ちの様相を呈するウオールマートだが、そんなに魅力的な商品に溢れていたっけ?と疑問を感じる時もある。ニューヨーク・タイムズによると、事故のあった店では早朝5時頃から行列ができていたということだ。寒いのにご苦労様である。
明日あたりからブラックフライディの売上をメディアは報じて、景気の先行指標にしようとするだろう。ウオールマートなど一部の店を除いて、販売状況は芳しくないと私は思っている。しかしどれ程のものを買うのかは知らないが、早朝から行列を作るという米国消費者の熱意は敬意を表したい。その意欲があればやがて景気は回復しそうである。そう思いませんか?