昨日(11月14日)米国では特段良いニュースもない中で、株価5百ドル以上上昇したが、その裏でビッグ3が脱輪する懸念が高まっている。ニューヨーク・タイムズによると「昨日民主党の議会幹部は、レームダック・セッション中に自動車メーカーの救済に反対する共和党の反対を覆すことは困難だと認めた」と報じている。
ニューヨーク・タイムズによると「自動車業界を救済する法案を通すには上院で60名の支持が必要だが、それを得るためには最低でも共和党から11名の支持を取り付ける必要があるがそれが困難」ということだ。
ビッグスリーの救済に反対する共和党議員の主張は「ビッグ3の苦境は今回の金融危機の結果ではなく、彼等が消費者にアピールする低燃費の車を開発してこなかった結果であり、税金を使って救済するべきではない」というものだ。ガソリン価格はピーク時の半分近くまで下がってきたが、不況下の米国では安くなったガソリン代を貯蓄や借金の返済に回す人がほとんどだ。車の売れ行きは極端に落ち込んでいる。まして燃費の悪い車を買う人はほとんどいないだろう。
米国政府は既にビッグ3が低燃費車を開発ための資金として250億ドルの低利融資を行うことを決めているが、この資金を使って燃費の良い車を使う前に資金不足から脱輪する可能性が高まっている。
救済を支持する民主党の議員の中でも温度差はあるようで、同紙は救済法案を熱心に推し進める幹部に対して、一般の議員の中には冷めた見方もあるようだ。
このような状況の中、20カ国を集める金融サミットが開かれる。米国一国の中でも話が簡単にまとまらないのに、各国のエゴや各国首脳の自国選挙民向けのアピールを考えた発言振りなどを見るとサミットで大きなことが決まることは期待しにくいだろう。
それにしてもビッグ3の一部でも資金不足で脱輪すると大変なことになる気がするが、株式マーケットはどの程度織り込んでいるのだろうか・・・と気になるところだ。