金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トヨタ格下、自動車は苦しい

2008年11月27日 | 金融

昨日格付機関Fitchがトヨタの格付を最上格のAAAからAAに格下した。トヨタは2003年にムーディーズがAaaに格上げしてから、3つの格付機関から最上級の格付を得ていたが、今回その一つを失った。なおFitchはトヨタをネガティブ・ウオッチに置いているので、格付回復より格下の可能性が高い。この格下ニュースで昨日トヨタ株は4.6%ダウンだ。

世界中で数少ないAAA企業であるトヨタが格下になったことは、自動車業界の苦境を物語る。考えてみると自動車は複雑な商品だ。ボトムラインは「移動手段」や「運搬手段」だが、その上に「趣味」「ステータス・シンボル」という付加価値があり、金融商品的な側面を持っている。金融商品的側面とは雑な言い方だが、自動車にはセカンダリー市場があるので、オペレーティング・リースの対象となったり、それを担保としてお金を借りることも可能だからだ。

特に自動車ローンやリースの比率が高い米国において、自動車購入についてファイナンスがつかないと車の販売は難しくなる。今年前半にガソリン価格が高騰した時は、米国の消費者が、燃費の悪いピックアップ・トラックやSUV市場から退出し、これらの車種の中古車市場は崩壊し、オペレーティング・リースを行っていた自動車メーカーは大損をした。そして自動車リースを大幅に縮小した。

自動車業界は今年「原油の高騰」と「金融危機」というアゲンストの暴風が吹いた。原油価格は目先下がっているが、ほとんどの人はやがて上がると考えている。景気が悪い間は車の販売は伸びないし、景気が回復するとガソリン価格が上昇して車はまた敬遠される・・・・。先進国で車を販売を延ばすのは難しい時代になっているのだろう。

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