日本人はトレッキング好きだと思う。ここではトレッキングを「夏道を歩く登山」という程度の意味で使う(登山には岩を登ったり、雪山を登る分野もあるから)。レジャー白書によると登山人口660万人、ハイキング人口2,600万人だ。私の会社仲間を中心としたトレッキング仲間も増えて、10月に行くバーベキュー付武尊山登山の参加者は10名になろうとしている。
どうして日本人はトレッキング好きなのか考えてみた。一般的には「身近に安心して登ることができる山がある」「交通機関や宿泊施設が整備されている」「元々宗教登山の伝統があった」などがその理由にあげられる。
加えて私は「登山には松竹梅がない」ということと「他人と勝ち負けを競わない」ということをあげたいと思う。「松竹梅がない」には少し説明がいるだろう。例えば山小屋にはホテルのようなグレードはない(もっとも最近は追加料金を払うと「個室」を提供するところもある)。食事も一種類。「特別料金を払うから」といっても人よりご馳走を食べることは出来ない。
登山道具にも余り値段の格差はない(ブランドにより若干の差はあるが)。無論厳冬期用の靴と夏山用の靴では値段は違う。これは質の違いではなくスペック(仕様)の違いである。同じ程度の夏山を登る靴というスペックであると値段の違いは余りない。高い靴を履いたからといって早く登ることができる訳ではないのだ。私はこれらのことを持って「登山には松竹梅がない」と言っている。これは他のレジャーと違うところだ。他のレジャーでは持ち物はしばしばステータスシンボルになる。しかし登山では用途にあったものしか役に立たないのである。そして無駄な持ち物は負担になるだけだ。
この「松竹梅のなさ」言い換えると「格差のなさ」が日本人の好みに合うのではないか?と私は考えている。