十二湖から「くろくまの滝」に向かう私達は、奇岩が並ぶ深浦の千畳敷に立ち寄った。時刻は午後1時半だ。
写真を撮った後再び車を走らせて深浦町の北端辺りから右折して赤石川沿いの道に入る。国道101号線には「くろくまの滝」という大きな表示があるが、レンタカーのナビは反応しない。このルートは「林道」を含むためナビはルートと認識しないようだ。
赤石川は金アユやイワナで有名な清流だ。清流沿いの道はやがて地道に変わり「くろくまの滝」下の駐車場に到着。数台の車がとまっていたが、日本の滝百選の一つにしては訪問者は少ないというべきだろう。 滝へは15分、道路工事用のキャタピラーの跡がついたぬかるむ道を登ると木立の中から高さ80mの滝が見えてくる。滝到着午後2時40分だ。
車に戻ってこれからどうするか?考えたが「悪路を走行」して津軽峠からアクアビレッジを経由してホテル(ナクア白神)まで帰ることにした。これは「白神ライン」と呼ばれる林道なのだが、ホテルや十二湖の物産館で聞いたところ「走行はお勧めしない」と言われた悪路である。だが途中に「マザーツリー」と呼ばれる樹齢400年のブナの大木があるので挑戦することにした。
今回のレンタカーはマツダのデミオで車高が低いため時々車の下でゴツンという嫌な音を聞いた。ロードクリアランスの高いSUVなら問題はないが普通の乗用車ではやや苦しい道というアドバイスは正しいだろう。少々くたびれながら津軽峠に到着。マザーツリーはここから歩いて5分程度の山の中にあった。到着時刻午後3時50分。
樹齢400年の幹は太い。ブナの大きさを感じるには下から見上げるのがよい。
マザーツリーからもしばらくオフロードを走り夕刻アクアビレッジ到着。ここは白神山地の名所の一つ「暗門の滝」の入り口なのだが滝まで行く時間はないので、自販機でコーヒーを飲んで車を走らせる。アクア白神着は午後6時。結構ハードな一日だった。白神山地の観光名所である「十二湖」「くろくまの滝」と「マザーツリー」や「暗門の滝」を一日で回ることはかなり難しいことが分かった。日本海側の十二湖と内陸部のマザーツリーや暗門の滝を結ぶ東西道路がデコボコの多い地道で走行には時間を要する。
今回の白神山地トレッキングは暗門の滝は見ることができなかったものの、白神山地最大の滝や美しい青池、心和むマザーツリーなどを見ることができたので私は満足している。
旅は一期一会である。再び白神山地を散策することはないかもしれない。とすれば暗門の滝を見ることはないかもしれない。急に感傷的になったが人生とはそのようなものだろう。人とは限られた経験をベースに人生に意味を見出しながら歩み続けざるを得ないものであると私は改めて考えている。