金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

今度は銀行による国の救済?

2009年09月23日 | 金融

ニューヨーク・タイムズに「米国の預金保険が枯渇しそうで、大手行からの借り入れで凌ぐかもしれない」という記事が出ていた。米国の預金保険公社は4兆8千億ドルの預金に保険を提供しているが、今年初めから94の銀行が破綻したため、預金保険ファンドの残高は年初の3分の1の100億ドルにまで減少している。

法律により預金保険公社は財務省から1千億ドルの借入を行うことができる。しかし預金保険公社のシーラ・ベア総裁はガイトナー財務長官と関係がギクシャクしているので、市中大手行からつなぎ資金を借りるのではないかと観測されている。このプランは大手行も歓迎している。何故なら預金保険公社が政府資金を借りることになると、世論は銀行に対する規制強化を求めるからだ。

預金保険ファンドが急速に枯渇したのは、銀行の破綻が続出し、預金保険ファンドからの支払が急増したからだ。今倒産しているのは中小金融機関でその救済のために一時公的支援を受けた大手行が資金を融資するというのは皮肉っぽい話である。

だがこのことは「他山の石」としてよく勉強しておく必要があるだろう。日本で亀井金融担当大臣が「中小企業融資の3年間モラトリアム」提案を行っているが、万一モラトリアムが実施されると破綻する銀行が急増する。大臣は「その時は国が銀行を救済すればよい」と言っているが、先進国で一番財政状況が悪い国にそのようなお金がある訳がない。

国は国債という借金で破綻した銀行を救済するが、その国債を買うのは破綻していない銀行である(そして最終的に返済するのは国民である)。実体経済がよくならない限り、借金の付回しをしても物事は解決しないのである。

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Cut down (イディオム・シリーズ)

2009年09月23日 | 英語

Cut downは読んで字のごとく、切り詰めるという意味で、イディオムという程ではないかもしれない。だがこのデフレ経済下Cutという言葉は一種のマントラなのであえて取り上げてみた。

ニューヨーク・タイムズは日本の消費者の消費態度が完全に節約指向に変わったことを記事にしている。その中に次の一文があった。I have cut down on fruit since last year.「私は昨年から果物への支出を切り詰めている」という意味だ。消費者はメロンの替わりに安いバナナを買うのでバナナの輸入量は過去最高を記録している。

記事の中にCut-rate(割引価格とか安物という意味)に関する次の一文があった。Cut-rate category of "imitation" beers, a poor man's brew made with soy or pea protain instead of barley and hops. 「イミテーション・ビールという大麦とホップの替わりに大豆とえんどう豆でできた貧しい人のビールという割安カテゴリー」

これは第三のビールのことだ。この記事では第三のビールはマイナス・イメージで説明されているが私は必ずしも第三のビールを悪いとは思わない。特に運動をした後などサントリーの「金麦」をクィと飲むとさっぱりしていて気持ちが良い。

もっとも外国人は「イミテーション・ビール」と聞くと余り良いイメージが浮かばないかもしれない。インターネットを見ると「イミテーション・ビールのレシピ」があり「ラム酒に砂糖、レモネード、ホイップクリームを混ぜて作る」と書いてあったからだ。

タイムズによると、消費者の節約指向で7年前ウオールマートの傘下に入った西友の売上が伸びていて、今年初めて黒字を出すことが見込まれるということだ。

不況下でも高級品が売れる唯一の市場と言われた日本が漸く普通の国になったということだろう。

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