鳩山民主党代表の「友愛」は英語では一般的にはFriendshipと訳するが、ウオール・ストリートは Friendship and loveという丁寧な訳語をあてていた。だがもし来るべきG20で鳩山氏の通訳~スタンフォード大学院出の彼には不要だろうが~が、「友愛」を「ソシアル・ヘルス」と意訳することが出来ると彼はG20で良い線を行くのではないか?と思うニュースを目にした。
というのは「GDPだけを政策運営の指標をすることについてG20で問題提起をしたい」とフランスのサルコジ大統領が月曜日にソルボンヌ大学で演説していたからだ。
サルコジ大統領はノーベル経済学賞を受賞したスティングリッツ教授とアマルティア・セン教授をパネラーに招いて、GDPの指標性の問題を討議した。そしてGDPだけでは不十分で持続性と人間の福祉を図る指標を導入する必要があると結論付けた。そしてGDPへの過度のフォーカスが現在の金融危機の引き金になっているとレポートは結論付けている。
ニューヨーク・タイムズによるとサルコジ大統領は「主なメッセージはGDPフェテイシズムから離れて、その限界を理解することだ」とインタビューで答えている。
GDPは1930年代に米国政府が国の収入と生産をより正確に測定する手段として開発したものでマクロ経済学上もっとも重要な指標となっている。だがタイムズによるとGDPは経済全体の成長・収縮を正確にとらえるけれども、ソシアル・ヘルスを表すには要領を得ない物差だという批判が長い間あった。
ソシアル・ヘルス、直訳すると「社会の健康」だけれど、色々な使われ方から見ると「人間関係の健康」と理解するのが良さそうだ。だから私は鳩山代表の友愛を「ソシアル・ヘルス」と意訳することも可能だろうと私は考えている。
GDPがソシアル・ヘルスの指標として問題があることについて、スティングリッツ教授は「2000年から2008年の間にGDPは上昇したけれども、家計収入の中央値は4%下落した」と述べている。つまり経済成長の果実は富裕層をより富裕にしたけれども、中間層の所得は下落したということだ。
何をもってソシアル・ヘルスの尺度とするかは簡単な議論ではない。ただ地球環境問題と格差問題が大きな政策課題となる中で、GDP一神教を批判する機運が高まっていることは注視するべきだろう。