今日(9月28日)東京市場でドル円為替は一時88円台まで円高が進み輸出株は大幅に売り込まれた。今回の円高背景を雑談風に分析してみよう。
先週末のG20は先進国クラブだったG8がG20に発展し、今後は恒久的にG20で行こうということになった。日本の影響力が小さくなることに不満を感じた鳩山首相はG8に固執する発言をしたがほとんど無視されてしまった。
これは今後発展途上国の協力なしには世界は成長軌道に復帰できないことを欧米先進国が認めたことである。アメリカは自国発の金融危機の根本的な原因は「経常赤字を出しながら消費に邁進し世界経済の成長を牽引した国と輸出に偏重し経常黒字を溜め込んだ国のインバランス(不均衡)が臨界点に達したこと」と総括し、世界のリーダーはそれを認め、今後インバランスの解消に努めることを確約した。
この時点で個別の為替レートの問題については明示的な合意点はない。あるとすれば藤井財務相が「円高容認発言」をした位のものだ。しかしながら想像力を働かせると中国とアメリカの間で、IMFの議決権を増やすこととバーターで人民元高を容認するというような阿吽の呼吸があるような気がしてくる。
言うまでもなく為替レートは少なくとも短期的にはゼロサム的で、自国通貨の輸出にプラス逆はマイナスに働くので国内世論を考えると軽々しく通貨高を容認することは危険だ。
注目するべきはIMFの動きだ。ファイナンシャル・タイムズによるとドミニク・ストロス・カーン専務理事は「IMFが為替の問題を話さなければ誰が話をするのだ」といって今週末からイスタンブールで始まるIMF総会で為替問題を取り上げることを公言している。
うがった見方をすると「経常赤字国と黒字国のインバランス是正について世界は合意し」「G20の恒久化とIMFでの発言権増加と交換で人民元切り上げについて何らかの暗黙の了解があった・・・」という具合に私は推測している。正しいかどうかは分からないが、そのような流れの中で円高を容認する円も買われている・・・と理解しておく方が良さそうだと私は考えている。