Hard lineは強硬路線で、Take a hard lineは「強硬路線をとる」という意味だ。ニューヨーク・タイムズに次の一文が出ていた。Regulators in the United States have not taken as hard a line as the Europeans. 「米国の規制当局者達は欧州の規制当局者のような強硬路線を取ってきていない」という意味だ。何について強硬路線を取っていないかというと、銀行役職員に対する高額なボーナス支払についてである。
フランスのサルコジ大統領やドイツのメルケル首相を含む欧州の首脳陣は今日(17日)「G20にて銀行役職員の高額ボーナスを制限する」ことを求める声明を発表すると予想されている。タイムズはサルコジ大統領はG20で本件が合意に至らないと退場すると繰り返し脅かしている。
一方米国は政府が民間企業の報酬に制限を設けるということに不快感を感じている。ボーナス額を制限するという議論については事情通の間では、今回のG20では決着しないという観測がある。タイムズは But leaders are expected to paper over their differences in Pittsburgh. 「しかしピッツバーグ(G20の会場)では首脳達は彼らの相違点を隠すだろうと予想される」と述べている。Paper overとは隠すという意味だ。
期待できることは精々「ボーナスの支給を後ずらしすることで、短期的な利益極大に走る動きを抑制する」こと位だろう。
邦銀の役職員のボーナスは議論の対象にならない位低いのでG20の結論が大きな影響を持つとは考えにくい。ただし一部の銀行やノンバンクで過度の業績主義を取り入れた結果、不良債権を増大させたような会社は報酬体系を見直す機会になるかもしれない。日本の監督官庁はこのようなことに嘴を入れることが好きそうだからだ。