先週日本の新発10年物国債金利は1.25%だった。この水準を見ると債券市場は景気の二番底をある程度予想しているようだ。
景気の二番底については、ファイナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューにHSBCのマイケル・ゲーガンCEOが「景気回復はV字型ではなくW字型だろう。二番底のリスクを警戒して、バランスシートは景気回復がはっきりするまで拡大させない」と述べている。ゲーガンCEOは彼の事務所をロンドンから香港に移し、中国ビジネスを拡大することが期待されている(例えばHSBCは来年前半にも上海証券取引所に海外の銀行としてはじめて上場が期待されている)が、その矢先に慎重な発言を行った。
ゲーガンCEOは銀行の自己資本規制についても悲観的な見通しを述べている。金融規制当局は私的な見解として「中核(普通株式と余剰金)となるティアワン比率」は8%程度という線を示しているが、彼は10%程度になるのではないか?との見方を示した。
HSBCは自己資本比率が高く、中核ティアワン比率は8.8%で、ティアワン比率は10.1%あるから穿った見方をすると、自己資本の低い銀行をターゲットにクセ球を投げたのかもしれない。
HSBCはリーマンショックによる痛み方の少ない銀行で時価総額の減少幅も小さい。手元の資料(日経ヴェリタス)を見ると、同行の2009年9月末の株式時価総額は18兆167億円でこれは2年前の81.4%だ。因みに三菱UFJの時価総額は5兆6145億円(2年前の49.4%)、シティグループの時価総額は4兆7766億円(同29.2%)だ。
本当に二番底をつけるかどうかは分からないが、「しっかりした」銀行の責任者の見方だから参考にする人は多いだろうと思い紹介した次第である。