「星はエマージング市場に昇る」という題でファイナンシャル・タイムズは、投資の地平線は新興国に広がっていることを改めて記事にしている。
2009年の秋は二つの出来事~G20がG7に替わって代表的な国際会議になったこととブラジルで2016年のオリンピック開催が決まったこと~で、新興国の台頭を多くに人に印象付けた。新興国市場に既に投資を行っている人は自信を深め、まだ投資を行っていない人は真剣に投資のタイミングを探るだろう。
FTによると投資の専門家の中には「新興国」という言葉自体がもう時代遅れだという人がいる。Ashmore Investment Managementのリサーチ部門のヘッド・Booth氏は「ブラジルのマクロ経済と政治の信頼性はイタリアより強いことに大きな疑いはない。ブラジルのデフォルトリスクはイタリアのデフォルトリスクより低い」と言う。
新興国に対する機関投資家の投資シェアは経済規模に較べて小さい。IMFによると新興国のGDPは全世界の30%を占める。また新興国の時価総額はFTSE世界インデックスの11%を占める(2000年には3%だった)が、平均的な年金基金の資産配分は5%にとどまっている。
運用会社によるエマージング・ファンドは1999年の640億ドルから直近の5,630億ドルに拡大しているが、先進国ファンドの4兆4千億ドルという規模に比べるとはるかに小さい。
HSBCグローバル・アセットマネジメントのトップは「新興国市場と経済は向こう5年、10年または15年の間、先進国より早く成長する」と述べている。
だがファンドマネージャーは「新興国ならどこでも成長する」といった安易な考え方に警鐘を鳴らしている。例えば中東欧を例にとると、ポーランドやチェコは不況に対する抵抗力を示したが、ハンガリーやウクライナはIMFの支援を仰ぐことになった。ラテンアメリカではブラジルの経済規模と安定性は魅力的だが、メキシコは石油と近隣諸国の経済への依存度が高い。
さて個人投資家としては新興国をどのようにポートフォリオを取り込むか?ということが次の課題だ。リスクが低い方法はバンガード・エマージング・マーケットETFのような新興国の上場型投信を買うことだ。また全世界の株式にまとめて投資するFTSEオールワールド・インデックスを買うのも一つの方法だろう。
これらの上場型投信は楽天証券やマネックス証券などのネット証券で取引されることが多い。
既存の投信販売チャンネルである証券会社や銀行の窓口で「実用性に乏しいリスクの説明」を聞いて高い手数料を払うより、投資コストを抑えたネット取引でETFを買う・・・という時代なのだろう。これはこれで銀行株の売り材料かもしれない・・・(にが笑)