昨日(10月28日)米国株式市場は、新築住宅販売件数の予想外の低さが景気回復懸念を高め大きく値を下げた。ダウは119ポイント(1.2%)下落。株式市場はコレクション局面に入ったようだ。新築住宅販売件数の市場予測は44万件だったが、発表された数字は40万2千件だった。
米国の住宅市場が回復してきた理由は、政府が始めて住宅を取得する人に8千ドルのタックス・クレジットを与えていることや、住宅ローンの金利が5%と低めに設定されていることにある。だがこれらの住宅販売促進政策はそろそろ息切れしそうな感じだ。
債券運用で有名なピムコのビル・グロス氏は、現在の景気回復過程を三段ロケットにたとえている。一段目・二段目は各国政府の大量の流動性供給・超低金利策といった金融政策や、自動車の買換えへの税金優遇や補助金の交付などの景気刺激策と企業の在庫圧縮努力。この効果で最悪期は脱しつつあるように見えた。
だがビル・グロス氏は景気が本格的に回復するには、消費であれ、設備投資であれ、輸出であれ、民間の需要が高まる必要があると述べ、民需が回復するには「オールドノーマル」から「ニューノーマル」への移行が行われる必要があるという。
「ニューノーマル」の時代とは、過度の消費よりも節約・倹約が美徳とされる世界。たとえば大型のSUVを乗り回すことが格好良いと考えられた時代をオールドノーマルとすれば、少し高級な自転車に乗って環境に優しく、かつ健康的な生活を送ることがニューノーマルと理解して良いだろう。
ビル・グロス氏は「オールドノーマル」な経済について「1970年代後半のインフレ終息により、80年代から低金利時代が続き、規制緩和や金融技術により金融レバレッジ(借入)が拡大し、年5,6%のGDP成長が続き、株・不動産・コモディティの価格が上昇した時代で、米国の消費者は借金を恐れずに消費を謳歌した」と述べる。だがリーマン・ショックで反転が始まった。経済成長率は今までの半分程度になる。長短金利の目先の上昇はない。しかし当局の金融機関に対する規制強化が高まるので、借入の削減(ディレバレッジ)が進む。
このような状況の中人々はまだ「ニューノーマル」という新しいパラダイムになじめないので混乱する・・・という訳だ。
もしビル・グロス氏の「ニューノーマル」と三段ロケット論が正しいとすると、今年の春先から多少の踊り場はあったにしろ、続いてきた株式の強気相場は少しはしゃぎすぎていたのかもしれない。もっとも好悪いずれにせよ材料を先取りしたがる株式市場とはこのようなものかもしれない。
因みにビル・グロス氏は当面株を買うなら、値上がり期待銘柄より配当狙い銘柄だとピムコのレポートの中で書いている。