アマゾンは昨日キンドル(電子書籍)の新しいバージョンをまもなく発売すると発表した。キンドルは書籍を無線でダウンロードすることができる道具だ。新しいキンドルの特徴は米国以外の100ケ国以上の国でもコンテンツをダウンロードできることだ。日本では10月19日から出荷が予定されている。
ニューヨーク・タイムズによると、新しいキンドルは旧バージョンと外見(6インチのスクリーン)は同じだが、従来と異なりAT&Tのワイヤレス・ネットワークを使い(従来はスプリントのネットワーク、スプリントはローミングが弱かった)、海外でのダウンロードを可能にしたことだ。
新キンドルの値段は279ドル。創業者兼CEOのJeffrey P. Bezos氏は「我々は常時数百万冊の英語の本を非英語圏に輸出している」「彼らは新キンドルを手にすると、60秒で本の内容をダウンロードできる」と述べている。
海外の新キンドルユーザーは約20万冊!の英語の本をキンドル経由で購入することが可能になる。
キンドルがどれ位売れているか正確な数字は不明だが、調査会社Forresterは2009年の電子書籍の販売見通しを従来の2百万台から3百万台に引き上げた。
Bezos氏はキンドル経由でダウンロードできる本はアマゾンがペーパーベース・電子ベースで販売する本の48%に到達しているという。
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アマゾン ジャパンによると「将来的には日本語のデジタル書籍を扱いたいと思うが具体的な計画はない」という。
電子書籍キンドルの与える影響をデジタル書籍のない日本との対比で少し考えてみよう。まずキンドルを利用することで、英語で書かれた本は「安く即時に」世界100カ国で販売されるということになる。本が読まれるということはそのコンテンツが読まれるということで、コンテンツは有形・無形に人々の考え方や嗜好に影響を与える。ということはキンドルとともに「英語圏文化」がますます世界に広がるということだ(無論非英語圏の人間が英語で本を書くこともあるだろうが)。英語の優位性はますます強まるだろう。
キンドルを使うことができる英語圏の人はそれ以外の国の人に較べて、「安く速く」本=情報・知識を手に入れることができる。ということは情報と知識において優位に立てるということだ。日本もどこかで本のデジタル化に取り組まないと競争力を失うのではないだろうか?
次にハードウエアとしてのキンドルはソニーなどの競争相手を持つが、本というコンテンツを押さえるアマゾンの絶対的優位は動かないということだ。アマゾン恐るべし。
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さて私がすぐキンドルを買うか?というとまだ決めていない。理由は簡単、60秒で本をダウンロード出来ても、英語の本を読むには骨が折れるので買ったところでホコリを被ってオシマイというリスクがあるからだ。
ただ内緒(もしこのブログを見ると困るが・・・)だが、娘にはクリスマス・プレゼントとして買ってやろうかな?とは考えている。この点だけからいうと1ドル80円位の円高が来ると助かるのだが・・・