10月7日に1オンス1,050ドルをつけた。「金価格はどこまで上昇するのか?」というのはちょっとした関心事だ。エコノミスト誌は香港ベースのブローカーChristopher Wood of CLSAの「長期的には金は3,500ドルをターゲットとしている」という意見を紹介していた。これは購買力平価ベースで見て、1980年代の金価格の高値に相当するという。
一般的に金が保有される理由はインフレ・ヘッジだ。だが今回金が買われている理由はインフレヘッジではない。エコノミスト誌はインフレ連動国債と普通の国債の利回り格差から計算して市場が向こう20年間に予測するインフレ率は1.9%だという。通常インフレ懸念が高まると長期債は売られる(利回りは上昇する)が、インフレ懸念がないため「金も長期債も同時に買われる」という現象が起きている訳だ。
金価格が上昇している理由は個人投資家や機関投資家が金ETFを買っているからだ。金ETFは過去2年間で1割増え、現在約8.4百万オンス(価値は87億ドル以上)の金を保有している。金価格が上昇している理由についてエコノミスト誌は「第一の容疑者は米ドルだ」と言っている。金の上昇とドルの下落が逆相関関係にあるからだ。
ところで私も国内金価格連動ETFに少し投資しているが、この逆相関のお陰?で余り値上がりしていない。金価格連動ETFの価格は「ロンドンの米ドル建て金価格にロンドンのスポット・ドル円レートをかけて計算される」ので、金が上昇してもドルが円高が進んでいるのでETFの価格は余り上昇しない訳だ。
だが歴史的にみると「ドルも金価格も上昇する」という局面もあるので、未来永劫ドルと金価格が逆相関関係を続けると決め込むのも危険だろう。今「利息を生まない」金が買われる理由は、金利が低いからである。景気回復が本格化してドル金利が上昇し始めても金を買い増す人が増え続けるかどうかは疑問だろうと私は考えている。