金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

原発危機問題、原因は試験向け秀才選抜社会の弊害か?

2011年03月17日 | ニュース

原発危機が続いている。noutoriさんからは「司令官はオタオタしていはいけない。日露戦争の時の大山巌元帥のようにどっしり構えるべきだ」というコメントを頂いた。

noutoriさんのご主旨とは異なるかも知れないが、今回の原発危機の発生原因と対応の不手際さは、私は「実戦経験の欠如」によるものであり、日本の文系秀才選抜社会の弊害がでたと感じている。

日本において大山巌や児玉源太郎のような優れた司令官、参謀総長は概ね日露戦争で終わったのではないだろうか?その後大正デモクラシーを経て、日本は再び中国との戦争を皮切りに長い戦争の時代に突入した。

しかし対米戦争時における日本の将官の任命状況と米国の将官状況を見ると大きな隔たりがある。日本では対米開戦時においても「ハンモックナンバー」と呼ばれる陸海軍大学校の卒業席次を守った「発令」を行っていた。だから南雲中将のような水雷戦の専門家ではあるが、航空戦の素人が空母艦隊の司令官になり、ミッドウェー海戦の敗戦の一つの要因になる。一方米軍も平時は「ハンモックナンバー」に従った発令を行っていたが、戦時になると勇猛なニミッツを二階級特進で太平洋艦隊司令官に任命するという適材適所主義を取った。日本の敗北は基本的には日米の圧倒的な物資の差によるというべきで、人事面に過度の敗北要因を求めるべきではない。しかし日米の司令官人事の差が日本の敗北を早めたことは間違いない。

では旧日本軍の人事の問題は何か?というと陸海軍大学の成績順位を余りに重視したことであると私は考えている。別の言い方をすると、秀才を重視し過ぎたのである。軍隊組織の中で出世するのは矢玉をかいくぐる第一線の将兵ではなく、赤レンガの参謀本部で机上の計画を述べる「秀才」と相場が決まってしまった。

秀才は政府や会社を含めてあらゆる組織に存在し重要なポストを占めている。彼等は既得権益者か権益を得るレールに乗った人間である。だから責任回避能力に長けている。「どうすればできるか?」ということをトライする前に「出来ない理由を見つける」ことに専念する連中なのである。

この問題は昨日今日起きた問題ではなく、恐らく日本では日露戦争後から発生した問題だと私は考えている。大袈裟にいうとその辺りで発生した官僚主義とか形式主義の弊害が蓄積して、今日の原発問題の遠因をなしていると私は感じているのである。

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東京は何をしているのか?

2011年03月17日 | ニュース
今日17日の読売新聞夕刊に原発事故などを理由に福島県民を受け入れている一覧先が出ていた。ところが東京都の施設はどこにもない。どうなっているのだろう?



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東京に踏み止まる外人バンカーもいる

2011年03月17日 | ニュース

少し前にブログとツイッターで、東京在住の多くの外国人駐在員やその家族が関西以西への一時退避を図っていると書いた。大阪や京都の高級ホテルでは、従業員とその家族のため、2-3週間部屋を予約したいという注文が殺到しているという話だ。

だが、公平のために「東京に踏み止まって頑張る外人バンカーがいる」というFTの話も紹介しておこう。FTによるとある欧米投資銀行のトレーディングのヘッドは「私は地震の2日後にその前から予定されていた海外出張をキャンセルして、東京に踏み止まった恐らく唯一の人間だろう」と誇らしげに笑った。火曜日の夜、日頃はトレーダー達のたまり場になる六本木のバーで彼とその仲間は唯一の顧客だった。

彼は物理的な危機感と市場の混乱が高まる中で、スタッフのモラールを維持するために東京に留まるという。

また東京で1千人近いスタッフを抱える英国の投資銀行バークレーズは、経営トップ層(エグゼクティブ・コミッティーの10名)の一人を従業員のモラール向上のため東京に送り込んできた。

余談になるけれど、時々モラールとモラルを混同する人がいる。モラールmoraleは「やる気、士気」で、モラルmoralは「品行、道徳」だ。語源は同じなのだろうけれど。

実際のところ、私などディリーベースのオペレーションに関わっていない人間が、多少無理をして出社するのも、このモラールの維持のためである。

ところでFTのこの記事の後段では、「東京を拠点とする日本の多くの会社は、出勤するかしないかを自己判断で決めなさいという指示を出している」と述べている。そしてある電子メーカーに勤める女性従業員の「自己判断と言っても、本当は出社しなさいという意味。自己判断ということで在宅勤務を選択すると非常に気まずい思いをする」という言葉を紹介していた。

出勤に多大な労力がかかる場合に会社が従業員に「自己判断」を求めるのは無責任な話であろう。出社させる必要があるなら、それなりの対策を講じるべきで、「とにかく何とかして来なさい」という指示を「自己判断」という言葉でごまかしてはいけない・・・という耳の痛い話であった。

東京を脱出するにしろ、踏み止まるにしろ、外資の判断の方が従業員にとっては頼りがいがありそうだ。

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ホワイトハウス、菅・オバマ電話会議の内容をリリース

2011年03月17日 | ニュース

本日(17日)日本時間午後12時半頃、ホワイトハウスは菅首相とオバマ大統領の電話会議の内容をリリースした。骨子はつぎのとおり。

オバマ大統領は米国は日本が3月11日に発生した壊滅的な地震と津波の影響を日本が克服するためあらゆる可能なサポートを行なうことを決定した。大統領は菅首相に核応答とその後の管理に関する専門性を持った軍事的資源を含む追加的な支援を提供しつつあると説明した。二人のリーダーは米国と日本の専門家と役職員が緊密な連携を続けることを再確認した。

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仏系金融機関は積極的に自宅待機を実施

2011年03月17日 | ニュース

フランス系投信委託会社に勤めている娘は昨日午後から明日まで自宅待機となった。

娘によると「フランス人は働くのが好きでないから、こんな時にはさっさと休むよ」という話。

委託会社のフランス人トップからは「何でこんな時に、コンプライアンス関係に人間や監査役が出社する必要があるの?緊急時は部門長など重要な役職の人のみが出社すればよく不急の人は自宅待機しなさい」という指示が出たとのこと。

「フランス人が働くのが好きでない」のか「合理的」なのか、あるいはその双方なのかは横に置くとして、我々日本人とはかなり対極にある人種であることは間違いない。

日本のサラリーマンは鎌倉時代から「召集があればやせ馬に乗って駆けつける」佐野源左衛門(謡曲「鉢木)スタイルが奉公人の鑑だ。

だがいざ戦争となると「やせ馬」では、屈強の騎馬兵団に立ち向かうことはできない。これを機会にフランス人の良いところは見習いたい・・・と感じている。日本の会社で実践するのはハードルは結構高いが。

コメント (2)
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