金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

過ち、不幸、メルトダウン・・・ロイターのレポートから

2011年03月20日 | ニュース

3月20日日曜日夕刻現在福島第一原発で電源の復旧工事が進んでいる。一刻も早く電源がつながり、冷却機能が戻ることを希望する。原発にとって電源が肝であることは数日前に読んだロイターの記事の中で、スリーマイル島原発事故に対応した米国核規制委員会チームのトップだったDenton氏が「電力は原発プラントに不可欠なものだ。動かなくなった原発は発電することができない。従って燃料棒を冷やす水を循環させることができない。そして燃料棒が溶け始める。それが今の状態なんだ」と述べていたことが思い出される。素人講釈は差し控えるべきだが、電源確保が最優先事項だったのだろうか?それについてはもう少し、事態が収まってから専門家の意見を聞くことにしよう。

ところでこのロイターの記事の題はMistake,misfortune,meltdownと3つのmを重ねている。3月18日時点における今回の原発事故に関するfasttrackな原因分析論ということだ。

・ロイターは今回の原発事故の拡大を防ごうとする努力について、「一連の判断や行動の誤り、不運、捨て身の行き当たりばったりの対応」があると述べる。

・ロイターは日本は長い間しばしば独自路線を選択することを誇り、外部の助けを断ってきた。しかし日本の強みが崩壊し始めるとする時何が起きるのか?そして災害が余りにも圧倒的で外部の助けが極めて重要な場合何が起きるのか?と疑問を投げかける。そしてロイターは大地震と津波が襲った後、地震と津波ゾーンに近い4つの原発を無事に、閉じることができたと報じたがそれは真実ではなかったと続ける。

・日本政府に「事実を過少に報道する」という悪意があったかどうかは私には判断する材料がない。ただ当局や東電は「地震、津波、原発内部の事故という個別の問題に対する準備は行っていたが、これらが同時に起きるということは想定外だった」というUnion of Concerned ScientstsのVancko氏の意見には傾聴するべきところがあるとだろう。

・次にロイターは福島第一原発の原子炉の物理的な欠陥に言及する。今回トラブルを起こしたのは、GEのマークⅠというタイプの原子炉で40年前にデザインされたモデルだ。新しい原子炉と違い、このタイプの原子炉では使用済燃料と使用中の燃料が同じ冷却水プールで保管されるので、一つの問題が他に及ぶリスクがあるとロイターは指摘している。

外国政府や専門家は日本の政府が真実を告げていないのではないか?という不信感を持っている。その背景の一つはウィキリークスに外交文書(ウィーンの米国大使館からワシントンに送られた電文)がすっぱ抜いたように、国際エネルギー機構IAEAの谷口冨裕事務次長(経済産業省出身)に対する米国の不満である。その外交文書によると「谷口氏は特に日本の原発の安全訓練に関しては弱い管理者でかつ擁護者で米国を失望させた」ということだ。

・昨年の2月にIAEAは「2007年に起きた柏崎刈羽発電所の事故は世界の原発に対する警鐘だ」と当時のレポートの中で述べている。そこで警告されたことは何か?というと「原発の最大のリスクは建家の壁の中ではなく、その外側にあるかもしれない」ということだった。

・IAEAによると「原発建設の初期の段階から、原発内部のヒューマンエラーや機械の不具合が、外部環境に放射線汚染が起きる最大のリスク要因と考えてきたが、これは誤った考えで実は台風、洪水、地震、津波・・・といった天災が最大のリスクかもしれない」ということだ。

☆   ☆   ☆

福島第一原発の事故原因については、今後専門家と称する人が色々な解説を加えるだろうから、この辺りでロイターの分析の紹介は終りにしたい。

ロイターの分析を私なりに解釈すると以下のようなことになるだろう。

「原発の最大のリスクは、台風・地震などの自然災害で、外部から原発の運用環境が破壊されることである」「例えば原発には冷却水を循環させるあtめの電力が原発停止後も必要だが、今回の事故のように発電装置が破壊された場合は、燃料棒が空気に触れた状態が続き、メルトダウンが始まる可能性がある」

「日本の当局は外部や外国の専門家のアドバイスに耳を傾けなかった。スリーマイル島などの貴重な経験が活かされなかった。」

今回の原発事故が当事者の想定外のことだったのかどうか?ということは、責任問題と関連して、今後相当議論されるだろう。東電やそれを監督した国はどのような責任に問われるのか?またどこまで免責されるのか?ということについて私は門外漢なので言及は差し控える(また現時点で判断材料もない)。しかし原発という難物を扱うには、自然環境の問題を軽く考えていたという批判は後講釈とはいえ、避けられないだろう。そしてこのようなレポートの主旨が広く知れ渡ると、今稼働中の原発について新しい切り口から安全性の検証が求められることになるだろう。

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震災寄付、ジム、立川中華街・・・休みの前半

2011年03月20日 | ニュース

3月11日の東日本大震災から今日で9日たった。大した被害を受けていない私のような人間がいうのは甘えた話だが、この1週間は長かった。春分の日の3連休はリラックスしたいと思う。

土曜日の朝、パソコンのメールを開くと、クレディセゾンから次回支払いのご案内とともに、震災寄付の募金が来ていたので、少し寄付をした。ワンクリックで済むので簡単。このような募金が間接コストが少ないので、効率的ではないだろうか?

その後田無駅前のティップネスに出かけた。10時前に食品スーパー(オリンピック)の前を通ると既に中高年男性を中心とした行列が出来ていた。何を求めて開店を待つ人達なのだろうか?

ジムでは久しぶりに、ステップボードのレッスンに参加した。これは20cm程の踏み台を使ったエアロビクス運動で、軽い緊張とリズム感を楽しみながら、ランニング程度の運動効果がある。疲れやストレスが溜まっている時は、エアロビクスのようなグループで行うエクササイズが良いと私は思う。何故なら50分間なら50分間、他律的に運動するからだ。ランニングだと「今日は疲れているからこの辺でやめよう」ということになりかねないが、レッスンは終わりまでやり通す。それとステップボードでは、運動に集中しないと台を踏み外す危険性がある。つまり無心になることができる。

無心に運動に集中し、汗をかき、風呂に入ってリラックスする・・・・これが今週以降も予想される不安定な通勤事情に負けない心身を作る秘訣だ。

「災害にも遭っていないのに、疲れるわね」とワイフが言うので、今日日曜日の昼飯は立川の中華街(グランデュオという駅ビルの中にある)に食べに行くことにした。天気が良いので、小金井公園の中をとおり、JR東小金井駅へ約30分のサイクリング。巷ではガソリンを求めるために長蛇の列ができているが、これらの人の中には、商売上明日のガソリンが必要な人もいるだろうが、just in case(念のため)ということで、車を満タンにしている人もいると聞く。

ところがこの車というシロモノ、都会の中ではいざという時中々役に立ってくれないのである。先週は新宿や練馬高野台まで自転車を飛ばして通勤したことがあったが、朝都心に向かうと渋滞した車の列を自転車で抜き去っていくのは爽快だった。

今回私は車にガソリンを入れるために並ぶようなことはしない。ガソリンがなければ車に乗らず、歩くか自転車の乗れば良いと割り切っている。2,3年前から車に乗ることを減らし、天気が良い限り20km圏内の単独行は自転車!と決めているからだ。

グランデュオでは菜香(さいこう)という店に入った。特に調べていった訳ではないが、1,365円のランチはまあまあ良かった。出る時には行列が出来ていたからそこそこ人気のあるお店なのだろう。

ルミネの中のBEAMSで、綿の薄手のカーディガンを買った。今週からオフィスで節電協力のため、室内温度を下げるから、羽織るのに良いようにと。

美味しいものを食べてちょっと買い物をすると春らしい気分になった。さあ、今週も頑張ろう。

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電力需給のこれから~ベースとワーストケース~

2011年03月20日 | ニュース

東日本大震災後の電力需給予想について、楽天的(ベストケース)シナリオは既にブログに書いた。http://blog.goo.ne.jp/sawanoshijin/d/20110319

今回はNautilus Instituteのレポートのベースケースとワーストケースを紹介しよう。

ベースケースの予想では、大震災で被害を受けた東電・東北電力の原発(壊滅的打撃を受けた福島第一を除く)の点検に、ベストケースよりも時間がかかり、また修理や地方政権の反対等で、原発の再稼働が遅れるというものだ。また現在稼動していない火力発電所の運転再開にも時間がかかるという想定だ。その結果、東電・東北電力の電力供給不足は数年(5年程度)続くと判断される。

この場合火力発電所の新規建設が必要だが、産業・民生用電力の総需要とピーク需要の削減が求められる。需要削減は現在一部の地域で実施され始めた計画(輪番)停電の形で行われる。

これはどのような影響をもたらすだろうか?以下はレポートを離れた私の意見である。

まず関東地方等日照条件の良いところでは、ソーラー発電設備を備えようとする企業・消費者が増えると考えられる。またスーパーやコンビニエンスストアに食品を納入する食品加工業など停電が致命的な影響を持つ業種では、LNGの自家発電装置を導入するところが増えると予想される。

また電力削減要請は、時差出勤・在宅勤務奨励や、クールビズ(およびウォームビズ)の通年化~つまり背広より過しやすいビジネスウエアの奨励~といったことが起こりそうだ。

ワーストケースシナリオはベースケースの延長線上にある。つまり被災地域の原発が大きなダメージを受けていて再開により時間がかかる、更には全国レベルの原発反対運動が起きて全国的に電力需給が悪化し、需給バランスの回復に5年から10年はかかるというものだ。

☆    ☆    ☆

大地震で安全に停止している原発の状況などが分からないので、今後の電力需給がどうなるかは推測の域をでない。今回大事故が起きた福島第一の原子炉はGEのマークⅠ型と呼ばれる燃料棒と使用済燃料を一緒の冷却装置内に置くなど問題があると指摘する専門家もいる。同タイプの原子炉(例えば女川発電所にもⅠ型あり)に対するアレルギー等から、緊急停止した原発の再開は簡単ではないかもしれない。

とすれば5年位計画停電が発生する可能性がある・・・ということをメインシナリオに企業も個人も活動方針や設備計画を見直すべきかもしれない。

私個人の話で恐縮だが、私は自宅のダウンサイジングが一つの課題ではないか?と考えている。二人の娘が家を出て暮らすようになったので、部屋が余りエネルギー効率が非常に悪くなっている。

太陽や風の恵を最大限に活かす暮らし方を考える・・・・。そこから新しい生き方やビジネスチャンスが生まれるのではないだろうか?

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